現場の声から始まった特定技能採用。信頼が繋ぐリファラル採用の広がり:株式会社オイシーズ

つけ麺「つじ田」や天丼「金子半之助」、中華そば「田中そば店」など、国内外で人気を博す飲食店を展開するオイシーズグループ。同グループは、現場で活躍する外国籍スタッフの想いに応える「特定技能制度」を積極的に活用しています。

単なる人手不足の解消手段としてではなく、スタッフ自らが「この会社で長く働き続けたい」と希望し、自発的に資格の取得を目指し、会社がサポートするという、信頼関係に基づいた独自の雇用サイクルが生まれています 。

本記事では、人事担当者へのインタビューを通じて、76名もの特定技能スタッフが定着する秘訣を探ります。全社員で取り組む「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」の浸透から、難関と言われる「特定技能2号」取得に向けた独自の学習支援まで、国籍を問わず誰もがフラットに、かつ高いモチベーションを持って働ける環境づくりの舞台裏を伺いました 。

「ここで長く働きたい」――現場の声から始まった特定技能雇用

――まずは、御社の事業概要について教えてください。

オイシーズ株式会社は、つけ麺「つじ田」や天丼「金子半之助」、中華そば「田中そば店」を中心に、多面的に飲食事業を展開しています 。国内だけでなく海外展開も積極的に行っており、特にアメリカなどへの直営店展開も進めています 。私たちは単に食事を提供するだけでなく、日本食の文化を大切にしながら、多様なバックボーンを持つ仲間とともに成長を続けている企業です 。

――現在、どのような国籍の方が、どのくらい働いているのでしょうか?

現在、特定技能だけで76名が在籍しており、国籍はミャンマー、ベトナム、インドネシアを中心に、全部で8カ国にのぼります 。中には、スウェーデンやドイツ出身のスタッフも「金子半之助」の天ぷら事業で活躍しています 。彼らは単に「飲食で働きたい」というより、「日本食を学びたい、ここで働きたい」という強い情熱を持って応募してくれたメンバーです 。

――様々な国の方が一緒に働いているんですね。オイシーズグループにおける特定技能制度導入のきっかけを教えてください。

もともと当グループの店舗では、外国籍のスタッフを多く雇用していました。その中には定住・永住権を持つ社員や留学生などのアルバイトも多数在籍していました。そうしたスタッフたちが友人や家族を紹介してくれるなど、リファラルでの採用が盛んでした。

制度導入の決定打となったのは、現場のスタッフから「もっと長く日本で働きたいので、特定技能の試験に受かったら社員になりたい」という声が次々と上がってきたことでした 。会社の方針としても特定技能雇用を検討していたこともあり、特定技能雇用の導入をスタートしました。

――人手不足ということだけでなく、オイシーズで長く働きたいから、という現場からの声に応じた背景があるのですね。導入にあたって、手続き面などで苦労された点はありますか?

最初は知識が不足していたため、申請にあたってどういった要件が必要かも分かりませんでした 。当時は登録支援機関も立ち上がったばかりで、私たちだけではなく、登録支援機関でも分からないことも多々あり、本当に手探りでのスタートでした。

なかなか申請が通らないなど、求職者の方にも迷惑をかけたなと、今振り返ると思います。

現在は、特定技能スタッフが76名まで増えましたが、労務担当と支援機関が密に連携することで、ここ2年ほどは大きなトラブルなく運用できています 。

――当初はすでに働いていらっしゃる方の在留資格の変更が主だったと思いますが、現在は海外からの直接採用も行っているのでしょうか?

そうですね、基本は国内の留学生や転職者がメインですが、近年は海外からの受け入れも開始しました 。海外採用の場合は、家や保険の手配といった準備に加え、入国直後は日常会話などのコミュニケーション面で苦労することもありましたが、それも一つの経験だと捉えています 。入社時期についても、ビザ申請が下りるまで数ヶ月かかることを現場(事業部)が十分に理解し、気長に待ってくれる体制が整っています。

D&Iは「当たり前の配慮」。国籍や背景を超えたフラットな職場環境

――かなり多くの外国籍従業員の方たちが活躍していらっしゃいますが、スタッフへの生活支援や、コミュニケーションの工夫があれば教えてください。

そうですね、当初は、日常会話やコミュニケーションに苦労したという声もありましたが、現在はその点も現場にも知見がたまり、うまく回っています。

従業員への支援としては、支援機関と連携した日々の面談に加え、グループ全体で特定技能スタッフ専用のチャットスペースを立ち上げています 。そこでは人事から2号試験のニュースや勉強法を発信しており、スタッフが個人的に困っていることも人事チームに直接チャットで相談できる環境を作っています 。また、現場には外国籍の先輩マネージャーや店長がすでに多く在籍しているため、日常的な悩みも共有しやすい土壌があります 。

――外国籍従業員だけではなく、日本人スタッフに向けて、多様な人材を受け入れるための教育はされているのでしょうか?

当社グループでは幸いなことに社風として「外国籍だから」という特別な壁がもともと低かったのですが、グループの中のコーポレート部門を担うオイシーズ株式会社において、経営層を含む全社員が「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)検定」を受講し、取得しています。

この検定の導入時には代表の工藤をはじめ、経営層が「自分たちがまず受ける」と率先して動いてくれたこともあり、オイシーズ全体に浸透しています 。ほかには、入社式でも、様々な背景を持つ方たちが一緒に働いており、ともに働く仲間としてフラットに接することを明確にアナウンスしています 。

――グループ内でのカルチャーとして、多様な背景の方にフラットに接するということを重視していらっしゃるのですね。とはいえ、様々な背景を持つ方たちが一緒に働く上での違いも発生するかと思います。例えば宗教上の習慣など、現場でのオペレーションに影響はありませんか?

ムスリムのスタッフがお祈りをしたり、ラマダンの時期に断食をしたりといったことも、店長やマネージャーは当然のこととして把握し、理解しています 。例えば「宗教上の理由で豚肉が食べられない・触れない」ということも、食物アレルギーがあるのと同等の扱いとして、当たり前の配慮として内包されています 。無理に日本流を押し付けるのではなく、各々の事情を当たり前に受け入れる風土が、スムーズな運営に繋がっています。

日本人の従業員においても子育て中の方の働く時間の調整や男性の育児休暇の取得なども含め、当社では特別な配慮というよりは当たり前のこととして認識されているので、そういったことと同様に社員全員が思いやりを持ってお互いを尊重しています。

共に成長する「特定技能2号」への挑戦。切磋琢磨が組織を強くする

――特定技能制度活用の背景に外国籍のアルバイトの方の声があったように、当初から長く働いていく人材の育成は前提とされていたと思うのですが、特定技能2号の取得支援を始めたきっかけと、具体的な内容を教えてください。

そうですね、日本で長く働き続けたいというスタッフの希望を叶えるため、2024年頃から社内チャットを活用した資格取得補助などを開始しました。また、新たに昨年から勉強会もスタートしています。

当初は学習も手探りで進めていたのですが、試験を受けた方たちへのヒヤリング等を実施し、2号試験は特に問題文の漢字が難関だということがわかりました。そこで独自の漢字テストを作成して毎月実施しています 。また、対面とオンラインのハイブリッドで勉強会を行い、その様子を録画して会社のポータルサイトに載せることで、いつでもオンデマンドで復習できるような仕組みを整えています。

1か月で1教科を学び、4カ月で終了するプログラムにしており、第1回目の参加者は限定的でしたが、今後参加人数がより増えるように社内への情報発信等で働きかけていきたいと考えています。

――この2号試験への取り組みによって、組織に何か良い影響はありましたか?

意外な効果として、もともと日本に住んでいた定住者や永住者のスタッフに「良い刺激」を与えています 。彼らは話すことは得意でも、すでに定住していることもあり読み書き(漢字)の勉強は疎かになりがちでした。

ですが特定技能の仲間が必死に勉強し、管理知識を身につけてキャリアアップを目指す姿を見て、「自分も学ばなければ」という意識が芽生えています 。国籍やビザの種類を問わず、互いに高め合うモチベーションに繋がっています 。

――これから特定技能雇用を検討している企業へ、アドバイスをお願いします。

まずは「受け入れる土壌づくり」を経営層から現場まで徹底することです 。物の考え方や宗教の違いを「当たり前」として理解しておく必要があります 。もう一点はもし支援業務を委託する場合は、「支援機関の選定」が重要です。私たちも過去に、面談が適切に行われていなかった等のトラブルを経験したことがあります。支援費用や売り文句だけでなく、自社のパートナーとしてどれだけ丁寧に、誠実に伴走してくれるかを見極めることが非常に重要だと感じています 。

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