適切な能力把握と日本語教育で外国人材活躍を支援  「ライクスタッフィング株式会社」

インタビュー
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人手不足が深刻化する介護業界において、外国人材の活用は喫緊の課題となっています。「保育」・「人材」・「介護」分野の事業を展開するライクグループのライクスタッフィング株式会社は介護業に特化した外国人材の紹介を行っており、日本語教育に力を入れた支援を実施しています。今回はライクスタッフィング株式会社の特定技能ご担当の高橋様、クイン様に、登録支援機関としての事業内容、外国人材支援で最も重視している点や支援のスタンスなどについて詳しくお話を伺いました。

介護事業の知見を活かし、日本企業の受け入れ体制から支援

ーー貴社の事業内容と、登録支援機関としての活動概要について教えてください。

ライクスタッフィング株式会社は、モバイル販売やコールセンター、物流、保育・介護分野などで人材派遣・紹介を行う総合人材サービス会社です。特定技能外国人材の紹介とそれに伴う支援も行っています。現状、当社は特定技能の介護分野に特化しており、顧客の8割以上が介護分野の事業所です 。

ーー登録支援機関としての活動で最も大事にされていることや、ご担当領域(対応国籍・分野など)を教えてください。

登録支援機関として最も大事にしていることは「日本語教育」です 。介護分野は他の分野に比べても日本語を使うシーンが多い業種であると考えており、日本語能力が業務を円滑に進める上で不可欠であると考えています。グループ会社で有料老人ホーム等を運営するライクケア株式会社では約70名の特定技能外国人を雇用しており、介護現場でどれくらいの日本語能力が必要かを把握しているため、そのノウハウを活かしています 。

また、担当領域として一番多い国はインドネシアですが、国籍は多岐にわたります。

ーー受け入れ企業から、特に多い相談事項を教えてください。また、それらにどのように対応していますか?

受け入れ企業からは、外国人材の雇用に関して幅広いご相談が寄せられますが、特に多いのは「受け入れ体制が整っていないため、外国人材の雇用は難しい」という声です 。これは主に、日本語を教える体制が不足していることや、外国人材を指導する人材がいないといった、人的リソースに関する課題に起因しています 。

このような課題に対し、当社では、受け入れ前段階においては、在留資格の申請期間があるため、その期間を有効活用し日本語教育に注力しています 。これにより、実際の就労の際は面接時よりも高い日本語能力を身につけることを目指し、企業側の不安を軽減し、スムーズな受け入れに繋げています 。もし外国人材への指導を行う日本人が不足している場合は、当社では介護分野での人材派遣や紹介を行っているので、人材を紹介することも可能です 。このように、会社全体でできることを包括的に支援する体制を整えています 。

そのほか、受け入れ後には、「外国人材の日本語能力がまだ十分でない」「外国人材が病気や怪我をした」といった相談があります 。当社では、日本語の重点的な指導に加え、病院への同行、病気や怪我の際の役所での申請手続きのサポートなども行っています。

ーー受け入れ企業の体制が整っていないという声がよくあるとのことですが、外国人材の紹介以外で何かサポートはされていますか?

たとえば、業務マニュアルをベトナム語などの母国語に翻訳して入社前に読んでもらうことを提案したり、外国人材が分からない箇所を教える環境を整えたり、マニュアルにフリガナを振るなどのアドバイスをしたりすることで、誰もが教えやすい環境づくりをサポートしています。

また、助成金活用等の支援も行っています。助成金などは地域や期間によって内容が異なるため、それらの情報を簡単に資料としてまとめ、企業側の受け入れハードルを下げる提案をしています 。

介護業界に特化した現場で活きる日本語教育を実施

ーー特定技能外国人への支援業務で、貴社の持つ強みについて教えてください

当社の強みは、日本語教育に力を入れている点にあります 。日本語の授業や日本語能力試験の模擬試験を行い、スタッフ様の日本語能力を定期的に確認しています 。さらに、多言語での対応も強みであり、ベトナム語、中国語、ミャンマー語、インドネシア語、英語など様々な言語でサポートが可能です 。これにより、日本語だけでなく母国語での相談にも対応できます 。

また、外国人材への日本語教育については、一般的な日本語に加え、介護現場で実際に使われる専門用語に特化した「介護の日本語」という授業を行っています 。介護業界特有の用語はもちろんのこと、企業や施設によっては独自の呼び方や言い回しがあるため、事前に担当者からヒアリングを行い、「この施設ではこれをこう呼んでいる」といった特殊な言葉のリストを受け取り、外国人材に伝達することで、現場でのスムーズなコミュニケーションを可能にしています 。

当社の場合、ライクグループ内に介護事業(ライクケア株式会社)があることも大きな強みです 。実際に介護現場でどのような人材が活躍しているかを把握した上で、受け入れ企業に提案できるため、単なる人材紹介に留まらない、現場に即した支援が可能です 。グループ会社であるため、現場からの「もっとこういう支援があったらいい」という率直な意見を吸い上げ、支援に活かす体制が整っています 。

外国人材の母語を用いたコミュニケーションでサポート

ーー日本で就労する外国人材への生活面の細やかなサポートをされていますが、異文化理解や心理的サポートなどでも、支援機関として意識している点があれば教えてください。

外国人材専用の公式LINEアカウントを運用しており、複数の社員が閲覧できるため、緊急時にも迅速な対応が可能になっています 。

また、週に1回以上は日本語のほか外国人材の母国語でも連絡を入れています。やはり、日本という慣れない外国で日本語に囲まれて生活する外国人材の方は心細い思いをしている事が多いです。週に1回でも母国語でコミュニケーションをすることで安心を感じていただけるようにするなど、心理的サポートにも配慮しています 。

そのほか、イベントなどを企画して外国人材同士のコミュニケーションを促進しています。例えば、4月にはお花見を企画したのですが、沢山の方が参加して楽しんでくれました。

ーー新たに特定技能外国人を受け入れようとする企業に対して、支援機関の立場からアドバイスやメッセージをお願いします。

当社は、介護分野の人材不足という社会課題に対し、外国人材の活用が不可欠であると考えています 。2040年には介護職が70万人不足すると言われる中で、日本人だけで対応するのは難しいという危機感を持っています 。

外国人材の受け入れにはハードルを感じる企業は多いかもしれませんが、国が整備した特定技能制度や登録支援機関をうまく活用することで、効率的に外国人材を受け入れることが可能となります 。当社も、登録支援機関として企業と外国人材の双方にとって良い架け橋となり、介護業界全体の発展に貢献していきたいと考えています 。

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