外国人雇用をテクノロジーで支援するBEENOS HR Link株式会社(以下「BEENOS HR Link」)は、[メディフォン株式会社]が主催する「特定技能制度活用を成功させる支援とは?外国人社員が定着する健康サポート〜」というテーマのウェビナーに、2022年9月15日に登壇いたしました。
このウェビナーでは、[メディフォン株式会社]事業企画室 吉原 啓太 氏による「特定技能外国人・技能実習生が 抱える健康課題」、[Linkus]代表取締役 岡﨑 陽介 氏による「特定技能の支援業務とITを活用した管理について」、データや成功事例を交えて解説しています。
[メディフォン株式会社]特定技能外国人・技能実習生が 抱える健康課題
特定技能外国人の支援に関して、その中でも医療・健康課題についてポイントを絞ってお話をさせていただきます。まず弊社の簡単な紹介ですが、[メディフォン株式会社]は大きく二つの事業を提供しております。まずひとつは医療に特化した遠隔通訳サービス、もうひとつは従業員の健康データを一元管理するクラウドシステムの提供です。今回は医療通訳や働く方の健康管理において得た知見やデータに基づいて、外国籍の方にとってどういったものがハードルに感じるか、それに対してどういった支援が効果的に作用するのかをお話しできればと思います。さらに私自身、監理団体や登録支援機関で業務を行なってきた経験を踏まえて深掘りができればと思います。
特定技能について
特定技能は1号と2号があり、2号は支援の義務はありませんので、今回は特定技能1号に関する内容となっています。特定技能とよく比較される技能実習について、簡単に比較した表はこちらです。
特定技能1号外国人の在留数は、令和4年6月末の時点で87,000名を超えており、特定技能制度が施行されてから右肩上がりとなっています。このうち75%強が技能実習からの切り替えということも見逃せない点かと思います。技能実習から特定技能に切り替える場合、日本に在留する期間が長くなるため自然と日本語や技能のスキルが高くなる方もいらっしゃるでしょう。
特定技能外国人の属性ですが、国籍はベトナムが最も多く、次いでインドネシア、フィリピンの順です。男女の比率はほぼ変わりませんが、介護、ビルクリーニング、飲食製造は女性の比率が高く、建設や機械製造系は男性の比率が多いといった特徴があります。
特定技能について
ここで、特定技能外国人や技能実習生を受け入れる会社さんが抱える代表的な壁についてお話しします。
ひとつは定着率の課題です。特定技能外国人の数が急増しており、技能実習生の制度の見直しを求められています。特定技能においては転職が可能となったため、人材の流動性がこれまで以上に高まってきています。技能実習の3年ないし5年、人材を確保できると考えている企業さんからすると、「働きやすい環境を整備して職場に定着してもらう」ということを、これまで以上に強化する必要があるでしょう。
もうひとつが人材確保の課題です。東南アジア諸国の経済発展に伴って新規入国者を獲得することが難しく、日本へ働きにきてくれる人材が減ってしまうことが予想されます。現状は中国から日本へ働きに来る方が減り、ベトナム国籍の方が多くなっていますが、この状況はどんどんと変わっていくでしょう。職場にきてくれた海外人材をできるだけ定着させることが重要ですが、こういったことをクリアしていくためには支援の強化が重要です。
技能実習生・特定技能外国人が抱える健康課題
こちらは令和3年度に出入国在留管理庁が作成した在留外国人に対する基礎調査を基に作成したグラフです。特定技能は施行されてからそれほど年数が経っておらずデータが少ないため、技能実習生に関するデータを使用させていただきます。
何かしら問題を抱えている方は60%いらっしゃいますが、別の見方をすると「特に問題を抱えていない」という方が40%いらっしゃいました。課題として挙げられたのは「病院で症状を正確に伝えられなかった」、次いで「病院の受付でうまく話せなかった」、「どの病院に行けば良いか分からなかった」、「診断結果や治療方法が分からなかった」、「病院での手続が分からなかった」です。
自然治癒するような軽い風邪等であれば大事にはなりませんが、不調に対処できない場合に最悪の結果として考えられるケースは“死亡”です。
平成24年からの8年間のデータによると、技能実習生が亡くなった事案は、認識されているだけで170件を超えています。その内訳は「実習中の事故による死亡」「実習外の事故による死亡」「病死」などが挙げられています。今回のテーマに関連する案件は、労災による死亡や長時間労働が原因の病死、メンタルの不調による自殺かと思われます。不調を放置すると、こういった最悪のケースが起こり得ます。こうならないためにも、通院・診断の課題をしっかり解決する必要があります。
通院・診断の課題について
通院・診断の課題について大きく二つ挙げさせていただきました。ひとつが医療機関へのアクセス、二つめが適切な治療へのアクセスです。
外国籍の方が不調を抱えている際に自ら「病院へ行こう」と思えること、行こうと思った時に適切な病院を探せること、病院へ辿り着けることが医療機関へのアクセスです。病院にたどり着いてからお医者さんに症状を正しく伝えられる、医療従事者からの説明をしっかり聞いて理解した上で、治療を継続できることが適切な治療へのアクセスです。
それぞれの段階で課題となっていることは明白です。医療機関へのアクセスに関しては、ヘルスリテラシーや情報の不足が挙げられるため、健康に関する知識や病院に関する情報について提供していくことが課題解決につながるでしょう。適切な治療へのアクセスに関しては言葉の壁が最も代表的な課題です。「病院で症状を正確に伝えられなかった」「病院の受付でうまく話せなかった」という声がそれに該当するかと思います。
健康・医療に関する具体的な支援について
健康支援の前に、特定技能外国人への支援についてです。支援はとても多く煩雑なので登録支援機関に委託することが可能ですが、海外人材を受け入れるためには、どんな形であれ支援体制を整えておくことは必須です。支援なしで特定技能外国人を受け入れることは不可能です。法律で定められている支援は以下のものが挙げられます。これらを遂行し、定期的に報告する義務があります。
ここでは、これらの支援の中から医療·健康に関する項目を見ていきたいと思います。
まず、生活オリエンテーションの領域です。生活オリエンテーションは、海外人材が日本で生活するために必要な知識を、海外人材がわかる言語で説明するものになりますが、以下図の4つが医療・健康に関する事項です。
上記以外にも事前ガイダンス/定期面談/相談・苦情対応といった支援の中にも医療·健康に関する項目があります。
「これらの支援をどれほどできているか」、「委託先の登録支援機関はどれくらい力を入れてやってくれているのか」について、受け入れ企業さんはしっかりと考えていただければと思います。
健康・医療に関する具体的な支援として
支援の第一歩は情報提供です。安全衛生に関するガイダンスについてまとめさせていただきました。特定技能外国人の出身国は全て対応しているので、ご活用いただけるかと思います。支援を外部に委託しているのであれば、その団体に通訳を徹底してしてもらうことも重要です。
また、医療機関利用方法、緊急時対応、労災対応のオリエンテーションに関する資料で、私がおすすめのものがこちらです。支援する側のマニュアルも含まれているので、受け入れ企業や登録支援機関の担当者さんにも使いやすいと思います。
技能実習生として長く日本に滞在している方であれば「分かっている」という方もいらっしゃいますが、「意外と知りませんでした」というケースを見落とさないためにも、特定技能へと切り替わるタイミングで情報提供をしてください。
技能実習総合保険、特定技能総合保険に入っていると基本的には、健康保険を利用して支払った治療費等の自己負担分も補償されるので、実質負担ゼロで病院受診が可能になります。保険料も1年で1万円程度で高くありませんし、自賠責保険もカバーしているので加入することをおすすめします。特定技能の場合は情報提供をするところまでが支援範囲となっており加入は義務付けられていませんが。会社の福利厚生に組み込めるのであれば、保険料を会社負担で加入いただくのが良いと思います。
「その医療機関が多言語対応しているか」を調べるのは大変ですし、そもそも多言語対応している医療機関が少ないのが現状です。一方で外国人患者受入れ医療機関認証制度 認証(JMIP)医療機関検索といったサービスもあるので、ぜひご活用ください。
医療機関を受診した際の言葉の壁について、どう対応しているかというアンケートです。適切な通訳を利用したり、多言語対応している病院を受診する方が少ない結果となっています。監理団体がサポートをしているはずの技能実習であっても、適切な情報提供や病院への同行といった支援が不十分であることが見て取れます。先程お話したように、特定技能において、これらの支援は義務とされているので、受け入れ企業や登録支援機関は多言語対応している医療機関を事前に調べておく、病院に通訳を同行させるといったといった対応は必須です。
[メディフォン株式会社]が提供するサービス
課題として挙げられた「医療機関へのアクセス」、「適切な治療へのアクセス」を解決するために我々が提供しているサービスがこちらです。
繰り返しにはなりますが、支援体制を強化するメリットはこちらです。
支援は義務ですので、行わなければ法令違反として罰則対象となります。また、人材の獲得と定着率を解消するためにも、採用力の強化は避けられません。支援体制の拡充が人材を惹きつけるポイントとなります。「法律で決められているから」というところから一歩踏み込んで「働きやすい環境整備」という観点から支援を行っていく必要があるでしょう。
海外人材が感じる仕事上の不満に関するアンケートを見ると、お給料に関する不満が最も多くなっていますが、一方で「生活面へのサポート不足」が困りごとのひとつであることも間違いありません。お給料などの条件面以外にも、安心して働いてもらえる環境の整備・サポートをすることは、人材の定着率を大きく左右すると考えています。
メディフォン株式会社
事業企画室 吉原 啓太 氏
技能実習監理、特定技能支援、高度人材の職業紹介など外国人労働者活用コンサルティング業務に従事した後、人事メディアの編集長を務める。これら業務を通じて、在日外国人が健康に働き暮らしていくうえで言語障壁を取り除くことの重要性を感じ、メディフォンに入社。現在は事業企画室にて多言語健康管理システム[mediment]のマーケティングを担当。
[Linkus]特定技能の支援業務とITを活用した管理について
[Linkus]特定技能宿泊の活用とIT管理については、BEENOS HR Link株式会社 代表取締役社長 岡﨑 陽介氏より説明をさせていただきました。【特定技能】外国人を雇用する際、一般的な日本人や外国人アルバイト雇用の場合とは異なった支援が必要となります。仕事だけでなく日本の生活をサポートする様々な準備・支援が義務付けられているのです。
採用活動から始まり、採用・内定通知、その後のガイダンス、本人とのやりとり、入国管理局とのやりとり、各種申請など様々な作業が発生します。また、義務的支援の中に「住居の手配」というものがありますが、住居を手配しただけで外国籍の方がすぐに住めるわけではなく、家具家電の手配、引越しや移動、ガスや電気の手配なども必要です。加えて、登録支援機関や送り出し機関とのやりとりなど、各関係者との連携・連絡も作業に含まれます。表面的に見えている“作業”と、見えにくいけれど細かく時間や手間のかかる“作業”があるのです。私たち[Linkus]は、こういったものをITを活用してサポートしていく仕組みづくりを構築しています。
管理していくうえで必要な情報収集・管理や書類作成は、義務的支援に含まれるでしょう。在留資格の期限切れ等が起きてしまったら海外人材は働き続けられませんし、受け入れ側にもペナルティが発生します。在留中に海外人材のパスポートの期限が切れるケースも考えられますので、様々な更新・手続きを海外人材に寄り添ってサポートしていく必要があります。
しかも、「この人の在留資格が切れる時期は3月だけど、あの人のパスポート期限は4月」というように、申請・更新の時期は海外人材個人によって異なります。それらをすべて人が把握・管理していくことは大変です。これらをこなしながら、海外人材個人の相談に乗ることも求められるでしょう。
支援業務のIT化を始めるベストなタイミングとは
支援業務のIT化を始めるベストなタイミングについてお話しさせていただきます。「担当者さんの業務負担を軽減する」という目的ですと、IT化を急ぐ必要はそれほどないかと思われるかもしれません。業務の稼働量を物理的に減らすことも大切ですが、事務作業やスケジュール管理について、「いつ、何をしなければならない」ということを覚え続ける労力を減らしていくことがさらに重要だと考えています。
と言いますのも、事務作業や稼働量を減らすことで時間に余裕を持たせられるため、空いた時間を他の業務に充てることができます。空いた時間に営業活動をしたり、特定技能外国人の方の支援をより手厚くすることができるでしょう。日本語学習や地域との交流をサポートしてあげられれば、モチベーションや日本語能力のアップも期待でき、職場への定着にもつながります。
弊社では支援・雇用する特定技能外国人の方が15〜20名になった頃が、最もIT化に適しているのではないかと考えております。
「手作業で管理ができるならもっと人数が増えてからでもいいのでは?」というお声も聴かれますが、ご担当者さんがツールに慣れることを考慮すると、50人、100人と人数が増えてからの導入ですとハードルが高くなってしまうと予想されます。支援・雇用する人数が増えると他にもタスクが発生することが予想されますので、「ツールに慣れる時間を確保できないまま手作業で業務をするしかなくなり、ご担当者さんの業務負荷が増えてしまう」という悪循環に陥ってしまう可能性もゼロではありません。
とはいえ支援する人数が1人2人ですと、手作業で業務を進めることもそれほど大変ではないかと思います。費用対効果も加味して、15〜20名からご利用いただくのがベストではないでしょうか。
[Linkus]の詳しい機能に関する内容はこちらをご覧ください。
BEENOS HR Link株式会社
代表取締役社長 岡﨑 陽介 氏
BEENOS HR Linkの代表取締役として、事業構築からサービス企画・営業などを統括。前職までは芸能事務所で プロモーション企画やメディア開発を行う。2015年BEENOSのグループ会社であるモノセンスに入社、コラボ商品企画やモノセンス内新規事業を担当。BeeCruiseに転籍し、[Linkus]を立ち上げ、2020年7 月にサービス提供を開始。2020年12月 にBEENOS HR Link株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。
まとめ
少子高齢化によって、日本国内だけで人材を見つけることが難しくなっていくこれからの時代。海外の人材に目を向ける企業が増えています。ですが、海外人材の雇用・採用・支援は、稼働時間がかかる上に、予想外のことも起こり得るため、簡単なものではありません。海外人材雇用をテクノロジーで支援する[Linkus]のサービスをぜひご活用ください。また、雇用した後は支援が義務付けられています。海外人材に長く働いてもらうために、そのベースとなるのは健康であることは間違いありません。雇用側も雇用される側も、安心して仕事ができるよう、ぜひサービスのご活用をご検討ください。