特定技能「産業機械製造業」で海外人材を採用するために必要なこと・注意点とは

特定技能

【監修】

ON行政書士事務所

長江 修

大手新聞社ニュースサイト制作や企業広報を経て行政書士資格を取得し、2017年に東京・上野にてON行政書士事務所を開業。「皆様の暮らしやビジネスの良きパートナー」であることをモットーに、【在留資格の書類作成・申請取次】をはじめ、【建設業許可】【古物商許可】などの各種行政手続き書類作成・申請代理を中心に展開。最近では【持続化給付金】【家賃支援給付金】などコロナ支援制度の対応も多い。また、経歴を活かし【ホームページ制作】など行政書士以外の業務も取り扱う。

特定技能制度は人材不足が顕著な産業分野において即戦力となる外国人材を受け入れるための制度で、機械関連業種では3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)で受入れが行われています。
この記事では3分野のうち産業機械製造業を取り上げ、人手不足の現状と特定技能制度の概要・注意点(対象となる仕事・業務、受入れの要件など)を解説します。なお、【特定技能 産業機械製造業】の採用や在留資格申請のご不明点、Linkusがお答えします。ぜひご相談ください。

産業機械製造業の現状について

経済産業省の調査(※1)によると、製造業全般で人手不足が進行しており、人材確保を経営課題として挙げる企業は94%に及びます。32%の企業ではビジネスにも影響が出るほど人手不足が深刻化しています。特に不足しているのは製造工程に関わる技能人材で、大企業の40.5%、中小企業の59.8%が技能人材の確保を課題に挙げています。
産業機械製造業においては、工作機械やロボットなどへのニーズが世界的に高まり、年2%程度の需要拡大が予想されるなか、2017年度の有効求人倍率は2.89という高い水準にあり、2023年には75,000人の人手不足が生じると見込まれています(※2)。
こうした状況に対し、各企業では生産プロセスのデジタル化やIoT・AIの導入、女性・高齢者の雇用促進などの対策を進めていますが、国内人材だけでは人材不足を解消するのは難しいのが現状です。
そこで、即戦力となる人材を外国から受け入れることを目的に創設されたのが特定技能制度で、産業機械製造業分野においては2018年から2023年にかけて最大で5,250人の外国人の受入れが行われる予定になっています。

特定技能「産業機械製造業」とは

特定技能制度は、国内人材だけでは人手不足が解消できない分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるための制度です。在留期間、受入れ可能な業種、任せられる業務、雇用形態・労働条件などについては、入管法や制度運営指針・運用要領などで規定されています。
国内産業への外国人材受入れという点は技能実習制度と共通していますが、技能実習制度が技術移転による国際貢献を目的としているの対して、特定技能は労働力の確保を目的としているため、基本的な目的が異なります。

◆特定技能に関する詳しい内容はこちら↓↓

特定技能とは?取得条件や対象職種を解説
2019年4月より、「特定技能」という新しい在留資格によって外国人労働者を受け入れられるようになりました。この制度を有効に活用できれば、人材不足の課題を打破できる可能性があります。この記事では、特定技能の「1号」と「2号」の違い、取得条件、

特定技能「産業機械製造業」の在留期間

特定技能には1号と2号の区別がありますが、産業機械製造業で受入れが行われているのは現在のところ1号のみです(そのためこの記事では「1号」の表記を省略しています)。
特定技能1号外国人には1年間、6か月間、4か月間のいずれかの在留資格が与えられ、在留資格更新の申請により通算で5年まで在留することができます。失業期間や育児・産前産後休暇、労災による休暇の期間なども通算在留期間に含まれます。

参考:特定技能外国人受入れに関する運用要領 p8、20-21

特定技能「産業機械製造業」で外国人の受入れが可能な業種

外国人の受入れが可能かどうかは、事業所ごとに判断されます。日本標準産業分類(※3)で定められた産業区分のうち、下表の区分に該当する事業を行っている事業所であれば、外国人を受け入れることができます。この分類に事業所が該当するか否かは、特定技能制度が活用できるか否かに関わってくる重要な事項となります。判断に迷う場合は、相談窓口へ問い合わせることをお勧めします。

また、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への加入時、該当性が審査されます。該当性なしと判断されると製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会へ入会ができず、特定技能外国人の受入れも難しくなります。

出典:製造業における特定技能外国人材の受入れについて(経済産業省)

事業を行っているかどうかは、直近1年間の収入発生の有無で判断されます。事業所において、その産業分野に属する製造品の出荷、加工・処理の受託、製造・加工・処理の過程で出たくず廃物の出荷などによる収入が発生していれば、事業を行っていると見なされ、外国人の受入れが可能となります。
具体的には以下のような業務による収入の有無で判断されます。

■製造品出荷
事業所が所有する原材料で製造した製品(自社製造品、または他社に原材料を支給して製造した製品)の出荷、自社グループ内の他の事業所への引き渡し、事業所内での自家使用、委託販売

■加工・処理
他企業の所有する原材料で製造した製品や他企業の所有する製品・半製品に対する加工・処理

■くず廃物出荷、その他
くず廃物の出荷、仕入れ品の転売、製品修理、冷蔵保管、自家発電の余剰電力の販売など

参考:
特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-産業機械製造業分野の基準について
製造業における特定技能外国人材受入れに関するFAQ(特定技能外国人材制度(製造3分野)ポータルサイト)2. 業種(分野)・職種(業務区分)の該当性

特定技能「産業機械製造業」で外国人に任せられる業務

一般的に、特定技能外国人に任せることができる業務は相当程度の知識・経験・技能を要する業務に限られます
産業機械製造業では、下表の通り18の業務区分が指定されており、これらに属する作業を「指導者の指示または自らの判断のもとで」行うことが特定技能外国人の業務内容となります。特定技能資格取得のための技能試験も、この区分に基づいて行われます。
特定技能の業務区分は技能実習の職種・作業と対応しています。

出典:製造業における特定技能外国人材の受入れについて(経済産業省)

なお、上記業務に通常付随するような関連業務についても、主業務と合わせて従事するのであれば従事が認められています(関連業務にのみ従事することは許されません)。

■従事可能な関連業務の例(金属プレス加工の場合)
材料・製品の運搬
加工品の切削・ばり取り・検査業務

参考:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-産業機械製造業分野の基準について 第1

特定技能「産業機械製造業」で外国人を受け入れる際の雇用形態・労働条件

特定技能外国人との雇用契約は以下の条件を満たしている必要があります。

参考:
特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-産業機械製造業分野の基準について 第4
特定技能外国人受入れに関する運用要領 p39-42

技能実習制度との違い

特定技能制度が即戦力となる外国人材の受け入れを目的としているのに対し、技能実習制度は日本の技能・技術・知識を外国人に吸収してもらい、帰国後に現地で活用してもらう技術移転を目的としており、日本における労働力の需給調整の手段として用いられてはならないとされています。
ただし、技能実習を修了した外国人本人が希望すれば、無試験で特定技能資格に移行し、特定技能外国人として就業できる場合があります(後述)。

特定技能「産業機械製造業」の取得要件とは

外国人が特定技能「産業機械製造業」の資格で業務に従事するためには、技能試験と日本語試験の両方に合格するか、技能実習2号を良好に修了している必要があります。

技能試験と日本語試験に合格していること

技能試験(製造分野特定技能1号評価試験)は18の業務区分(製造3分野全体では19業務区分)ごとに行われ、学科試験と実技試験からなります。外国人は従事しようとする業務区分の試験を受けて合格する必要があります。技能試験の内容は以下の通りです。

日本語能力については、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4レベル以上)」に合格する必要があります。身近な話題や日常的な事柄について簡単な日本語を理解したり基本的な情報交換をしたりすることができる水準が求められます。

参考:製造分野特定技能1号評価試験 試験一覧

技能実習2号を良好に修了していること

特定技能の各業務区分に対応する職種・作業について技能実習2号を良好に修了した外国人は、その業務区分の技能試験が免除されます。上記の表の通り、例えば「鋳造」の職種で「鋳鉄鋳物鋳造」または「非鉄⾦属鋳物鋳造」の作業を良好に修了していれば、業務区分「鋳造」の特定技能に必要な技能水準を有しているものと見なされます。もし、「鋳造」の特定技能に就きたいが技能実習の職種が「鋳造」以外の場合は、前項の技能試験「鋳造」に合格する必要があります。また、どの職種・作業であれ技能実習2号を良好に修了していれば、日本語試験も免除されます。

参考:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-産業機械製造業分野の基準について 第2、別表

特定技能所属機関(受入れ機関)に求められる要件と注意点

特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)としては、適正な雇用契約の締結(上記)に加え、特定技能外国人の支援体制を整備し、「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に加入することが求められます。
また、過去に労働法・入管法などに関する違反行為があったり、外国人の行方不明を発生させていたりすると受入れが認められない場合があるため、注意が必要です。

参考:
製造業における特定技能外国人材の受入れについて(経済産業省) p12
特定技能外国人受入れに関する運用要領 第5章
特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-産業機械製造業分野の基準について 第3、第4、

◆特定技能所属機関に関する詳しい内容はこちら↓↓

特定技能所属機関になるために必要とされる条件について
特定技能制度によって、以前よりも多くの外国人人材が日本で働けるようになりました。この制度を活用して、特定技能外国人を受け入れたいとお考えの企業も多いことでしょう。特定技能外国人を受け入れる企業のことを「特定技能所属機関」と言いますが、具体的

特定技能外国人の支援体制の整備

特定技能所属機関は、受け入れる外国人に対し、事前ガイダンスや入国時の送迎、住居確保・ライフライン契約手続きなどのサポート、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供などの支援を提供する義務があり、あらかじめ策定した支援計画に基づいて支援を適切に実行することが求められます。
ただし、このような支援体制を自社で用意することは大きな負担であることから、国の登録を受けた支援機関(登録支援機関)に支援全体を委託するケースが多いです。

参考:1号特定技能外国人支援に関する運用要領 -1号特定技能外国人支援計画の基準について

製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への加入

製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会は、製造3分野特定技能制度のための情報共有、課題把握と対応策検討、外国人受入れの地域差の抑止などを目的とする組織です。経済産業省を初めとする省庁、特定技能所属機関、自治体などで構成されます。
特定技能所属機関になろうとする企業は協議・連絡会に加入し、協議・連絡会による指導や調査に協力する義務があります。出入国在留管理局への在留申請時には加入が完了している必要がありますが、加入手続きには時間を要するため、特定技能外国人の受入れを決めたらすぐに手続きをされることをお勧めします。

参考:製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会運営要領

外国人受入れが認められないケース(欠格事由)

以下のような事由に該当すると、外国人受入れが認められない場合があります。

  • 労働法、社会保険関係法令、租税関係法令、出入国関係法令を遵守していない
  • 特定技能外国人が担当することになる業務に従事していた従業員が、過去1年以内に会社都合で解雇されている
  • 過去1年以内に、受入れ機関の落ち度で外国人の行方不明を発生させている
  • 過去5年以内に、技能実習の認定を取り消されたことがある

参考:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領 令和2年4月」p47~

まとめ

産業機械製造業においては人手不足が進行しており、人材確保のための手段として、デジタル化や女性・高齢者の雇用促進などと並んで特定技能制度の活用が期待されています。
特定技能「産業機械製造業」により外国人を受け入れるためには、業種や業務内容、雇用契約、生活支援などに関する要件を満たすことが求められます。また、今回は取り上げませんでしたが、そうした要件を満たした上で、多数の書類を用意して出入国在留管理局へ在留申請を行う必要があります。
受入れ業務をスムーズに行うためには、受入れ機関、特定技能外国人、外部関係者(登録支援機関など)の間での適切な情報共有・情報管理が欠かせません。特定技能特化型プラットフォームLinkusではデジタル化によるシームレスな人財管理サービスを提供しておりますので、ぜひご活用下さい。

<参考資料>
※1)製造業における人手不足の現状および外国人材の活用について(経済産業省)
※2)産業機械製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(経済産業省)
※3)日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名(総務省)

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