【決定版】コスト削減だけじゃない!特定技能を自社支援するメリットと抑えておくべきポイント

特定技能

特定技能外国人の支援に関して「自社で支援して外部委託に係るコストを削減したい」と考えている企業は少なくないでしょう。

自社支援をすることで得られる利点はコスト面だけでなく、ノウハウの蓄積、信頼関係の構築など様々です。しかし、「実際に自社支援は可能か」「外部に委託した方が安心かもしれない」という懸念も同時にあるかもしれません。

この記事では特定技能外国人雇用に関する自社支援のメリット・デメリット、発生する義務や注意点について解説します。なお、特定技能外国人採用に関する疑問点はなんでも『Linkus』や『特定技能アドバイザー』にお尋ねください。

委託支援と自社支援の具体的な違い

特定技能外国人の支援は専門的な内容も含まれており、特定技能所属機関(特定技能外国人の受入れ企業)での支援体制整備が難しいケースもあります。そのような場合に支援を委託(アウトソーシング)する先が登録支援機関ですが、ある程度の期間、特定技能外国人を採用・雇用した後“支援業務の内製化(自社支援)”を考える企業も少なくないようです。

最も大きな違いはコストと業務量

登録支援機関への支援委託と、特定技能所属機関による自社支援の最も大きな違いは“コスト”と“業務量”でしょう。雇用側(特定技能所属機関)は外部に委託していた支援(業務)がそのまま自社の業務となりますが、登録支援機関に対して支払っていたコストはそのままカットできます。

自社支援・内製化にあたって、支援担当者や通訳者等の整備等、新たな項目・予算が必要になるかもしれませんが、外部委託よりは費用が抑えられる可能性があります。また、コスト以外のメリットも考慮すると自社支援・内製化は価値のあるものとなるでしょう。

自社で支援できる?外部委託しないメリット・デメリット

この項では自社支援・内製化に関する具体的なメリットを解説します。

自社支援で考えられるメリット

特定技能所属機関が自社支援(支援業務の内製化)を行った場合、主に以下のメリットが得られると考えられます。

  • 支援委託費用が不要
  • 特定技能外国人との円滑なコミュニケーション・信頼関係の構築
  • 雇用/管理に関する社内ノウハウの蓄積
  • 安定した特定技能外国人採用/雇用(定着率UP)

懸念点すべき点

一方、自社支援を行った場合に考えられるデメリットは以下です。

  • 通常業務に支援業務が上乗せされる
  • 特定技能や支援の専門知識を要する
  • ノウハウ獲得に時間が必要
  • 通訳者の雇用や支援責任者の設置など新たに費用・工数が必要となる

とはいえ、支援の外部委託費をカットできるという大きなメリットがあるため、特定技能所属機関が自社支援をする、または自社支援に切り替えるケースが増えています

メリット例①:コスト削減

この項では自社支援・内製化におけるコスト面でのメリットを解説します。具体的な支援委託手数料の例を挙げているので参考にしてみてください。

体制整備で考えられるコスト削減効果

登録支援機関利用時の支援委託料の具体例はこちらです。
※支援委託料は、登録支援機関ごとに設定が様々となるため、下記の項目全てを設定するのが一般的であるという意味ではございません。

基本の支援委託料1万5,000円 ~ 3万円
(月額/外国人1人あたり)
事前ガイダンス実施料2〜6万円
生活オリエンテーション実施料3〜6万円
定期面談1〜1.5万円(1回あたり)
その他同行・支援5千〜1万円(1時間)

登録支援機関に支払う費用の相場は、初期費用30〜40万円(人材紹介手数料など)、特定技能外国人一人あたり月額2〜3万円と考えておきましょう。雇用する人数が多いまたは期間が長くなると増えます。

必要な費用具体例

通訳者の配置人件費もしくは稼働費(契約形態による)
支援責任者の配置人件費(各企業の給与に準ずる)

自社支援する場合、通訳者が社内にいなければ雇用する必要があります。この場合の雇用は正規雇用(フルタイム)だけでなく、パートタイム(アルバイト)や業務委託も認められています。支援責任者・担当者は特定技能外国人が所属する部署以外に配置することが義務付けられています。

自社支援と委託支援のコストの差は歴然

自社支援する際に雑費(文房具、交通費、資料コピーなど)が必要となるでしょう。支援責任者の配置は新たに人件費をかけて人を雇うこともできますが、社内の工数・稼働整理によって社内でまかなうことが可能です。自社支援を行う(あるいは切り替える)ことは、短期間でもかなりの費用削減が目指せますし、長期的なランニングコストを考えると価値のあるものとなるでしょう。

メリット例②:信頼関係の構築 / 直接サポートの安心感・安定性

この項では自社支援のメリットとしてコスト削減よりも大きな効果と捉える企業も多い”信頼関係の構築”について解説します。

企業文化の浸透・サポート力強化

出入国時の空港への送迎、生活に必要な契約の支援やオリエン、相談や苦情への対応など、特定技能外国人の支援は、企業と特定技能外国人とのやり取りを密にすることが必要です。その結果として、社内でのスムーズなコミュニケーション・信頼関係構築のきっかけとなるでしょう。

特定技能という在留資格かそうでないかという以前に、“一人の社員”として企業が直接サポートしていく姿勢が企業文化の浸透や現場でのサポート力強化を実現させるのではないでしょうか。信頼関係が構築されることは従業員の定着率アップにもつながり、結果として採用コストも抑えられるとも考えられます。

メリット例③:内部ノウハウの蓄積

この項では自社支援のメリットとして考えられる”内部ノウハウの蓄積”について解説します。

会社内の知識と経験の蓄積

自社で支援を行うことで、特定技能外国人の雇用・受け入れ・支援に関するノウハウを蓄積させることができるのではないでしょうか。知識や経験が積み上がることで、将来的に安定した外国人雇用の実現も可能です。登録支援機関に委託している、あるいは特定技能外国人を初めて採用する際は不安という声も聞かれますが、ご不明点やご相談はぜひLInkusまたはこちらへお問い合わせください。

継続的な体制整備と改善サイクルの確立

自社支援は最初こそ不安かもしれませんが、長期的に企業の成長を見込むことができると考えられます。情報のインプット→実施→フィードバックを繰り返すことで、課題が生じた時の改善サイクルの確立も可能です。

以上、ここで挙げたメリット以外にも、企業によって得られる成果は様々あると考えられます。

「安定した採用や戦力に繋がる」自社支援に取り組む企業の成功例

「自社で支援・雇用を行った方が生活全般をフォローすることもできて、いい関係を築くことが出来ると考えた」と語る、株式会社オーイズミフーズの人事部 武村敏明さん。

「外国人材を単なる労働資源と捉えるのではなく、国籍が違ってもいいところ、良くないところをしっかり見て、やりたいこと、実現したいことを考えてあげることがいい採用や戦力に繋がると思います。」とも述べています。自社支援に取り組む企業について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

インタビュー:オーイズミフーズが実施する外国人材の支援体制と取り組み「働く仲間として一緒に未来を築いていける支援を実施」
少子高齢化による人材不足から【特定技能外国人】の受け入れが各分野で推進されていますが、特定技能2号の対象分野が追加されたことで特定技能1号から在留期間や家族帯同の条件が有利な特定技能2号へ移行できる可能性が高まり、より特定技能での就職や採用

自社支援で発生する業務の具体例

この項では自社支援で発生する業務の具体例について解説します。

契約の締結・在留資格申請・各種届出

特定技能外国人を雇用する際、“特定技能雇用契約”の締結が必要です。契約書に求められることは、一般的な雇用契約に関する内容に加えて、通常の日本人労働者との間に報酬・待遇・労働時間の面で差がないことの他、一時帰国や有給休暇についてなど。外国人本人が理解できるよう、本人の
母国語で作成するケースもあります。詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。

特定技能の雇用契約書・雇用条件書に必要な手続きと締結時の注意点について
在留資格「特定技能」の制度を利用して外国人を雇用する際には、外国人本人との雇用契約に加え、在留資格関係の申請、次に雇用状況についての届出が必要です。提出すべき書類は多岐にわたり、それぞれの手続きには細かな留意点が存在します。国が公表している

義務的支援の概要と具体例

特定技能外国人が日本で不安なく仕事を行い生活するために、受け入れ企業には義務的支援が求められています。(義務的支援の対象は特定技能1号外国人で、特定技能2号外国人に対しては義務とはされていません)義務的支援に不履行があった場合には、処罰の対象となります。

  • 事前ガイダンス
  • 入国時や帰国時の送迎
  • 住居の確保(連帯保証・社宅の提供など)、日常生活に必要な契約(銀行口座・携帯電話・ライフラインなど)に関する手続きの案内や補助
  • 生活オリエンテーション(日本での生活のルールやマナー、公共機関の利用法などについて)
  • 公的手続きへの同行、公的書類作成の補助
  • 日本語学習の機会の提供
  • 外国人が十分に理解できる言語での相談・苦情対応
  • 日本人との交流促進(地域住民との交流の場への案内、参加の補助など)
  • 受け入れ側の都合で雇用を解除する場合の転職支援(転職先探し、推薦状作成、求職活動のための有給付与など)
  • 外国人やその担当上司との定期的な面談(3か月に1回以上)、必要に応じた通報

任意的支援の具体例

任意的支援は義務的支援に加えて行うことが望ましいとされる支援です。支援計画に記載するかどうかは任意ですが、記載した場合には実施の義務が生じることに注意が必要です。任意的支援の具体例をいくつかご紹介しましょう。詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。

登録支援機関の業務|特定技能外国人への義務的支援と任意的支援について【2023年4月更新】
登録支援機関のおもな業務は、支援計画に基づいて特定技能外国人への支援を実施することです。支援業務には「義務的支援」と「任意的支援」があり、適宜受入れ機関(特定技能外国人を雇用する機関)との連携も求められます。特定技能制度については、関係法令

◆事前ガイダンスに関する任意的支援
入国から就業までの過程で外国人の身の回りに関し問題になる事項についても、情報提供を行うことが望まれます。「日本の気候や適した服装」「本国から持参すべき(したほうがよい)物と持参してはならない物」など。事前ガイダンス後も外国人からの相談に随時適切に対応し、円滑に就労が開始できるようにすることが望まれます。

◆住居確保や生活に必要な契約に関する任意的支援
雇用契約の解除・終了後、次の受入れ先が決まるまでの間に住む住居の契約や、義務的支援に含まれないその他の生活上の契約についても、必要に応じて義務的支援と同様の支援を提供することが望まれます。

◆生活オリエンテーションに関する任意的支援
国・行政機関への届出・手続きのうち国民健康保険と国民年金に関しては、外国人当人が手続きを行う必要があるため、窓口へ同行して手続きの補助を行うことが望ましいとされています。

◆日本語学習の機会の提供に関する任意的支援
「日本語能力試験の受験支援や、資格取得者への優遇措置の実施」「職員による日本語の指導や講習に関する積極的な企画、運営」「日本語学習に要する費用の補助」など。

まとめ

支援計画作成や事前ガイダンスなどは外国人の入国前に行われるため、現地(送り出し国)との間で情報のやり取りをする必要があります。支援業務は各機関への申請・届出にも関係しています。

特定技能外国人を雇用する際、様々な義務的支援が求められます。登録支援機関に委託せず自社で行うことは最初は簡単ではありませんが、ひとつずつ確認・実行していくことが大切です。自社支援という経験を通してノウハウが蓄積されることも大きな利点と考えられます。この記事で挙げたメリットや成功例以外にも、企業によって得られる成果は様々あるでしょう。特定技能外国人採用に関する疑問点はなんでも『Linkus』や『特定技能アドバイザー』にお尋ねください。

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