「働く仲間として一緒に未来を築いていける支援を実施」     オーイズミフーズが実施する外国人材の支援体制と取り組み

インタビュー

少子高齢化による人材不足から【特定技能外国人】の受け入れが各分野で推進されていますが、2023年6月の閣議決定により特定技能2号の対象分野が追加されたことで特定技能1号から在留期間や家族帯同の条件が有利な特定技能2号へ移行できる可能性が高まり、より特定技能での就職や採用が活発化すると見られています。

今回は2019年から特定技能での雇用を行っている、くいもの屋「わん」鮮魚と地鶏「千の庭」などを展開している株式会社オーイズミフーズ人事部 武村敏明さんに特定技能外国人の雇用におけるサポート体制や取り組みについて伺いました。

外部に委託せず、自社で支援・雇用することで包括的なフォローを行い良好な関係を形成

ーー 深刻化する飲食業界の人手不足に対し、その解消方法として様々な手段が講じられています。その中でも特定技能外国人の受け入れを始められた経緯について教えてください

受け入れを開始したのは2019年中旬ころです。当時すでに人口減少や高齢化などの問題によって日本人の採用が今後難しくなることが見込まれていたため、会社としても早い段階で外国人社員の獲得に舵が切られました。

ーー 外国人材の中でも、特定技能の雇用を選択した理由はあるのでしょうか

留学生をアルバイトとして雇用するのではなく、正社員としてきちんと定着してくれる人材を雇用したいという意向があった中、2019年4月に【特定技能】の外食業専用のビザが出来たことが後押しとなりました。

ーー 特定技能の方々に活躍していただいている企業様の中でも登録支援機関を利用されている企業様もありますが、自社支援での雇用を選択された理由を教えていただけますでしょうか

以前利用していた登録支援機関のサポートが手薄だったこともあり、それであれば、自社で支援・雇用を行った方が生活全般をフォローすることもできて、いい関係を築くことが出来ると考えため切り替えを行いました。

ーー 新たにサポートの手厚い登録支援機関に変更するという選択肢もあったかと思いますが、雇用している方たちをきちんとサポートしていきたいという思いで自社での支援と雇用を決められたのですね

そうですね。そういった思いが一番大きいです。加えて先ほどもお伝えしたのですが、以前利用していた登録支援機関のサポートが手薄だったこともあって、ビザの更新や申請、各種届出や四半期報告なども結局は自社で対応しており、これなら自社支援にできるのではと感じていたことも自社支援のきっかけとなりました。

ーー 自社支援に変えてよかった点や課題などがございましたら教えていただけますでしょうか

良かった点は生活面を含めて働きかけることができて、これまでよりもいろんな話をすることができる点ですね。関東圏の外国人材を一店舗に25人ほど集めて勉強会・飲み会を実施したりもしていて、そこで交流や横のつながりが生まれたことも良かった点です。

その一方で、雇用する人数が増えるのに従って、時間の制約などがあって全ての要望や問題などを完ぺきにはくみ取りきれない点は課題です。社内での担当者の数に対して雇用人数が増えていく中で、面談だけではヒアリングしきれていない部分もあると感じています。もっと親密に一人一人と関わっていきたいと思っています。

ーー Linkusについてはどちらで知ったのでしょうか

もともと、特定技能雇用のためのシステムを利用していたのですが、切替を検討していた際にネットで特定技能の書類作成などに関するサービスを調べていたところLinkusを見つけました。求めている機能を全て搭載しているサービスだったことが決め手になりました。サービス内容も良くて、わかりやすいですし、以前使っていたシステムに比べ、費用の面でも削減につながりました。

ーー 利用してみてよかった点・便利なところがあれば教えてください

マスターデータをしっかりと登録しておけば、瞬時に反映して様々な書類作成をすることが出来るので 書類作成時間が短くなりました。以前使用していたシステムはフォーマットを保存しておけず、会社のクラウド上からデータを引っ張ってきたり、一から入力していたので時間や工数がかかっていましたがその点が改善されました。

以前はとても時間がかかっていて、あっちに行ったりこっちに行ったりしながら、「この項目は以前なんて記入していたっけ」なんてなりながら項目をチェックして入力して、とやっていて、結果的に抜け漏れがあり、書類が差し戻しになってしまうといったこともありました。

導入後はそうした煩雑作業がなくなり、書類作成が楽になりました。 また、自分以外の担当者が入力する際にも、以前は引継ぎしきれない部分があったのですが、Linkusでは誰がやっても出来るようになっているので助かっています。作業スピードは体感で二分の一程度に削減できていると感じます。

働く外国人材の目的に沿ったサポートを実施。

ーー 雇用をしている特定技能外国人の皆様のキャリアについては今後のサポートを含めてどのように考えてらっしゃいますか

働いてくれている人の中には特定技能2号を目指す人や、一定の金額を稼いだら母国に帰国したいという人もいるのですが、弊社でせっかく働いていくれているのであれば、目的に沿った提案ができればと思っています。

例えば、最終的には母国に帰って飲食店を開きたいというベトナムの人がいれば、店舗で母国の味を生かしたメニュー開発をしてみたらと提案してこの先に活かせるようなベースを作っていけるように促すこともあります。

弊社は裁量権が大きいので、お客様目線に立ったメニューであれば採用の可能性は高いです。店舗ではお金を稼ぎながらメニュー開発もできるので、チャレンジができる環境だと思います。こんなふうに今後やりたいことにつながるような仕事のサポートをしていきたいですね。

また、定着という意味でも特定技能2号を目指していく人のサポートは積極的に行いたいと考えています。そしてサポートはもちろんですが、私も元々店舗で働いていた人間で様々な海外の人材と接してきている実体験を踏まえて、一緒に働いていて楽しいということもなるべく伝えるようにしています。

ーー 外国人材の方々はキッチンとホールはどのような割合で働かれているのですか?

キッチンで働いてもらうことが多いですね。日本語を話せるという方は多いのですが、ホールでのお客様の接客となるとより高度なコミュニケーションが求められるので、キッチンに入っていただくことが多いです。でも実際に自分で日本料理を作って覚えるということは、将来居酒屋や飲食店を開きたいと思っている人にとってはメリットになると思います。先ほどもお話したようにキッチンでメニューの考案も出来ます。

ーー いつかベトナム風のメニューが登場することもあるということですね!

いつか日本でもベトナム食の店舗がオープンできたらいいなと思っています。

また、弊社はベトナムに現地法人があり、店舗も3店運営しています。日本の店舗で働いてから帰国後に現地店舗で働きたいという人もいます。現地で採用を行ったり、日本の人材を送るよりも日本の店舗で実務経験のあるベトナムの方が異動したほうがスムーズになる可能性も考えています。

有機的につながれるアットホームな交流を支援

ーー 外国人材の方の教育面、生活面など、どのような支援を行っていますか

生活面でのサポートは適宜行っていますが、9割は日本に居住歴のある方なので特に生活面でご要望をいただくことは普段はあまりありません。主に地方から引っ越してくる人の転居のサポートや住民票の手配、給与口座の作成などをサポートしています。

そのほかの部分では外国人材同士の横のつながりをつくるように働きかけています。東京に知り合いがいないという人も交流できるようにサポートしています。大きな交流の会を開催してからはそこからある程度つながりが生まれて、個々で飲み会などを開くようになっているようです。システマチックにつながりを作るのではなく個々が有機的につながれるアットホームな交流が生まれています。

働くのはやはり居酒屋ですし、店舗で働いている以上はこのお店で働いてよかったと思ってほしいですね。お客様を喜ばせる、自分の夢に向かうということも大事ですし、辞めた後でもこの店で働いてよかったと思ってほしいです。ありがとうと言われる喜びも含めて働く楽しさを伝えていきたいです。

ーー 外国人材の受け入れのために行っている取り組み等はありますか

会社としてはベトナム人店長が在籍している二子玉川の店舗に外国人研修センターのような形で店舗配属前の外国人材にホールとキッチンの業務を教える取り組みを行っています。配属された店舗で負担にならないように事前の研修を行っている形です。 2年前に採用をはじめたときは外国人材は5人程度でしたが、現在は数十人に増加しています。要望の増えている特定技能2号になりたい人たちの支援をしていくことが重要だと思っています。一人一人を大切にできるような支援担当者をまずは増やしていきたいです。

ーー そのほか意識していることを教えてください。

外国人主導で会社を盛り上げるような自発的な取り組みをしてもらえるような働きかけをしていきたいと思っています。指示して何かをさせるのではなくて自発的に「勉強会をしたい」とか声が出るような体制を作っていきたいです。特定技能の人たちは優秀な人が多いので、外国人だからサポートするのではなく、国籍関係なく仲間の一員として接していくことが大事だと感じています。人事部から独立して外国人材を中心とした外国人部がつくれたらなど構想していて、いろいろと新しい領域を切り開いていきたいですね。

特定技能2号も視野に入れて、多くの経験ができる環境を

ーー 特定技能2号について希望があれば準備を進めていくというお話でしたがどのような体制や環境を作られているのでしょうか

特定技能2号があることで外国人材のモチベーションも上がっていますのでそのためのサポートを実施していきます。特定技能2号を目指す場合は現場における3年以上の実務経験など必要とされる条件があるので、サポートできるように社内にポジションを作ったり、外国人トレーナーや責任者になれる道を用意するなどして、社内制度を含めて準備しているところです。弊社はすべての人をハッピーにという企業理念を掲げているのですが、お客様をはじめ従業員も含めて誰もが幸せになれる環境づくりに邁進していきます。

お客様をはじめ従業員も含めて誰もが幸せになれる環境へ

ーー 最後に武村さん、これから特定技能の雇用を検討されている企業の方にアドバイスやメッセージをお願いします

外国人材を単なる労働資源と捉えるのではなく、国籍が違ってもいいところ、良くないところをしっかり見て、やりたいこと、実現したいことを考えてあげることがいい採用に繋がったり、戦力につながると思います。そういう視点をもって一人一人と向き合いたいと思います。 私が都内店舗で働いていた時にも外国人材は多くてとても仲良くしていました。どの店舗に行っても気さくにあいさつを交わしていて、休みの日には一緒にご飯を食べたりしていました。こういった現場目線を生かしてきたいですね。

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