「ひとりひとりと真摯に向き合っているか」支援件数日本最多規模の登録支援機関 株式会社KMTが大切にしていること

インタビュー

「海外人材のためにできることはなんだろう」という発想から行政書士の資格を取得した大房さん。小学校からの友人の小森さんと、過去に海外で一緒に働いた池田さんらとともに、登録支援機関として株式会社KMTを運営されています。その特定技能外国人、支援件数は日本最多規模の300件以上。リマインド機能やステータス管理に魅力を感じていただいたことから、Linkusをご利用いただいています。

今回は行政書士でもある大房さんと、池田さんにインタビューをさせていただきました。行政書士として海外人材と関わってきた知識とノウハウ、登録支援機関として多くの特定技能外国人や受け入れ企業と関わってきた経験を通して、貴重なお話を聞かせていただきました。

限定することなく、色々な国の方を支援したい。

ーー 御社の事業内容について教えてください。また、登録支援機関として登録をした理由を教えていただけますでしょうか。

大房さんもともと行政書士の事務所を運営しており、特定技能制度が施行される前から、外国籍の方の在留資格等の申請を行っていました。2019年に特定技能制度が施行されてから、同年7月に法人(株式会社KMT)を立ち上げ、登録支援機関としても業務を行なっています。現在は入国待ちの方を含めると300名ほどの海外人材の支援をしていますよ。社内には日本人が10名弱、通訳とそれに関連する業務をしてくれる外国人スタッフが6名、さらにアルバイトの方を含めて約20名体制で業務を行なっています。

私は過去にカンボジアで旅行代理店を経営していたのですが、その時一緒に働いていたメンバーのひとりが池田なんです。日本に帰国してからは「カンボジア国籍の方向けに何かできることはないか」と考えて、日本国内でカンボジア国籍の方へ仕事を斡旋する人材紹介業から活動を始めました。実は日本に住むカンボジア国籍の方向けに、社団法人として相談窓口を設けたんです。そのとき「カンボジア国籍以外の方のサポートもしていきたいな」と感じたことが、登録支援機関として登録した大きな理由のひとつです。

ーー 旅行代理店をカンボジアで運営されていたというのは、なかなか珍しい経歴ですね。どうして異国の地で仕事をしようと思われたんですか?

大房さんカンボジアに旅行したことがきっかけで縁を感じたんです。それを機にカンボジアに住むようになり、現地で日本語学校を作ったり、スラムの支援をしていました。運営資金を調達するために、カンボジアを訪れる日本人向けに旅行会社を始めたんです。カンボジアに住み始めた頃「5年くらい住んだら帰国して、日本からカンボジアに対してできることをしよう」と決めていました。カンボジア現地にいると、できることが限られてしまうこともあって。日本で資金を増やしたほうが活動しやすい面もあるので、帰国して現在に至ります。

ーー 日本に戻られた当初は、どのような活動をされていたのでしょうか。

大房さん:カンボジアには「日本で働きたい」という方が多くいらっしゃいます。そういった方のために、日本で働くためのビザ取得の手続きをしてあげたいけれど、それって誰がやるんだろう?と調べてみたら行政書士だと知ったので、その資格を取得しました。

ーー さらりと「取得しました」とおっしゃいましたが、行政書士の資格取得は決して簡単なことではないですよね。大房さんの「外国籍の方のために何かしたい」という情熱を感じます。資格取得後は主にカンボジア国籍の方向けの手続きを行なっていたんでしょうか。

大房さん行政書士として仕事を始めた頃から現在に至るまで、カンボジア国籍の方が日本で仕事をするための書類手続きであったり、ご結婚をされる方の手続きを行なってきました。特定技能制度に関しては、今はインドネシア国籍の方が5〜6割、ベトナム国籍の方が3割、あとはタイやカンボジア国籍の方の支援をしています。

日本に住んで仕事をする、海外人材の満足度を高めるために。

ーー 登録支援機関として課題や問題点などはありますか?

大房さん仕事を辞める人が少なくないため、”定着率”は目下の課題です。私の考えですが、海外人材に日本に住んで仕事をしてもらう上で、楽しい気分を味わってもらうことも大切だと思うんですよね。そのためにイベントが企画できればいいのですが、現在は新型コロナウイルスの影響で人を集めることが難しい状況です。そんな中でも日本をどうやって楽しんでもらうか、日本に住んで仕事をする海外人材の満足度をどう高めていくかを模索するべきだなと感じています。

ーー 海外人材が仕事を辞めてしまう理由は、どんなものがありますか?

池田さん:仕事の条件面や会社との関係性が大きいのではないでしょうか。同じ職場で技能実習生から特定技能に切り替える方は離職や転職が少ないですが、特定技能として新しい職場に勤め始めた場合、離職される方もいます。技能実習として働いていた職場よりも、特定技能として新たに就職した会社の方がお給料が低いと、離職したくなる気持ちも分からなくないですが……。

また、「海外人材を初めて受け入れる企業さんと特定技能外国人の方とで、コミュニケーションがうまくいかず、海外人材が離職をしてしまった」というケースもあります。何人も技能実習生を受け入れている企業さんや、海外人材と働いてきた経験がある会社さんの方がうまくいくことが多いように感じますね。海外人材と積極的に関わる姿勢があるかないか、も海外人材の定着率に大きく影響すると思います。海外人材と一緒にごはんを食べたり、出かけたりといった交流をしようとする企業さんへの海外人材の定着率は悪くないです。

ーー 池田さんは海外人材から悩みを聞くことは多いですか?

池田さんそうですね。まずは本人の悩みを聞いて、可能な限りアドバイスをします。現在、300名ほどの特定技能の方を支援しているため、毎日全員とメールをすることはできませんが、何か連絡が来たらできる限り対応しています。受け入れ企業に働きかけることができる内容だったら企業にも話をしてみます。企業側も悪気がなく気付いていない場合も多いので、お伝えして改善することもよくありますよ。あと、私たちが特定技能の方と、休みの日に鎌倉へ観光や釣りに行ったりして交流をすることもあります。新型コロナウイルスの影響でイベントを開催することは難しいので、少人数で出かけています。

ーー 支援している人数が多いと業務はかなり膨大かとは思いますが、気をつけていることはありますか?

池田さん意識していることは、ひとりひとりと向き合い、疎かにしないことですね。人数が多いと共有しなければならない情報も多くなるので、漏れがないように気をつけています。すべてをきちんと丁寧にこなすことは、基本ですが一番大切なことだと思います。

積極的にコミュニケーション、そして交流する姿勢。

ーー Linkusを知ったきっかけや、利用し始めた経緯を教えていただけますか。

大房さん取引先からのご紹介でLinkusを知りました。利用するにあたって金額面はかなり魅力的でしたね。人数が増えれば増えるほど予算が上がってしまう料金体系だと、300名ほどの特定技能の方を支援している我々には厳しいです。Linkusは費用の上限設定があるので、支援する人数の多い我々のような登録支援機関でも安心して利用できるのではないでしょうか。

池田さん画像やファイルがアップロードすれば、他の人と共有できるのがいいですよね。個人のPCに保管しているとその人以外見られませんが、クラウド上に情報があるので誰もが見られますし、情報共有ミスも減らせると思います。海外人材の情報も企業の情報も同様です。

ーー 実際にLinkusを利用してみてよかった点や、これから活用していきたい機能などはありますか?

大房さん情報の集約ができることはとてもありがたいです。Linkusに情報を入力しておけば、後に誰かが書類を作成するときに、クラウド上の情報を見て作成できるのでミスも起こりにくいですよね。会社の共有ファイル内を時間をかけて探したり、スプレッドシートをいくつも参照するよりも、書類作成にかかる時間が短縮できます。

あと、ステータス管理ができることも大きなポイントです。300名それぞれが今、在職中なのか、求職中なのか、在留期間の延長申請をしているのか、これからしなければならないのか、をアナログ管理するとミスも想定されます。弊社スタッフ誰でも最新の情報を確認できるため、確認事項が減らせて業務もスムーズになっていると思います。

ーー ステータスに関して、人数が多いとアナログで管理するのは本当に大変ですよね。これからもぜひ活用してただければと思いますが、反対に「Linkusがもっとこうだったら良い」という点があれば教えていただけますか?

大房さんLinkusが」というよりも、早めに使っておけばよかったなと思います。管理人数が増えるととにかくデータ量が膨大になってしまうので、導入や業務体制への組み込みが複雑になるんです。登録支援機関として早い段階、支援人数が多くなりすぎない時点からLinkusを導入しておけば、よりスムーズだなと感じました。

ーー 特定技能外国人の登録者数が300名と、かなり多いですが、御社は何名体制で業務を行なっているんですか?

大房さん弊社には外国人スタッフが社内に6名、現地に3名在籍しているのですが、彼らの役割はとても大きいです。通訳者という枠を超えて、支援する海外人材の管理者という意識で仕事をしてくれています。なので、特定技能の方が弊社の外国人スタッフに相談することもよくありますよ。ただ言語を翻訳するだけでなく、きちんと「どうするべきか」を考えてくれる優秀なスタッフです。今後、登録支援機関としてやっていくのであれば、頼もしい外国人スタッフがいる方がうまくいくと思います。

ーー 社内スタッフとして海外人材を雇用する際、重要視しているポイントはありますか?

大房さん積極的にコミュニケーションが取れて、交流をしようとするかどうか、人柄を見ますね。支援している特定技能の方は、昼間働いて夜連絡してくることが多いため、そのときにきちんと対応できるスタッフであることは欠かせない条件だと思っています。人と積極的に関わろうとする人でないと、なかなか話を聞いてあげることってできませんよね。人をサポートする姿勢があるかどうかは見極めるようにしています。

大切なことは「海外人材と真摯に向き合っているかどうか」

ーー これから登録支援機関の申請をしようとお考えの方、現在登録支援機関として海外人材を支援している方に向けてメッセージをお願いします。

大房さん登録支援機関になる前から行政書士として海外の方と関わり、特定技能制度が施行されてからは我々とは別の登録支援機関の方と話す機会も多くありました。順調に進んでいる企業さんとそうでないところの差というのは、「海外人材ひとりひとりと、真摯に向き合っているかどうか」が一番大きいのではないでしょうか。労働力や賃金のことだけを考えるのではなく、その人に寄り添おうとしている組織はうまくいっているなという印象です。

加えて通訳ができる外国人スタッフに常駐してもらうことなど、自社でしっかりとサポートをする気持ちがあるかないかは重要ですね。弊社は特定技能の方と休日に交流することがありますが、それも通訳ができる外国人スタッフがいるからこそです。特定技能の方は困ったときに、私や池田に相談するよりも、外国人スタッフの方がきっと話しやすいですよね。こういったサポート体制があることは登録支援機関として大きな強みになると思います。

また、海外人材の書類手続きは費用がかかったとしても、外部に委託した方がよい場合はきちんと委託する、ということも、海外人材としっかり向き合う姿勢の表れだなと思うんです。申請のスピードを上げることや、コンプライアンスを守ることに繋がり、お互い気持ちよく働けますから。

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