特定技能「外食業」で海外人材を受け入れるために必要なこと

特定技能

【監修】

ON行政書士事務所

長江 修

大手新聞社ニュースサイト制作や企業広報を経て行政書士資格を取得し、2017年に東京・上野にてON行政書士事務所を開業。「皆様の暮らしやビジネスの良きパートナー」であることをモットーに、【在留資格の書類作成・申請取次】をはじめ、【建設業許可】【古物商許可】などの各種行政手続き書類作成・申請代理を中心に展開。最近では【持続化給付金】【家賃支援給付金】などコロナ支援制度の対応も多い。また、経歴を活かし【ホームページ制作】など行政書士以外の業務も取り扱う。

在留資格「特定技能」は日本国内で深刻化する人手不足への対策として、2019年4月に施行された制度です。特定技能で就業できる業種は「不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」。つまり、現時点で人手が不足している、あるいは近い将来人手不足が予測される分野の業種が指定されています。

そんな人材不足が進む産業のひとつ「外食業」も、特定技能制度によって海外人材の現場労働の従事が可能となりました。この記事では、特定技能「外食」に関して、従事できる業務内容、資格取得要件、受け入れ企業に求められることなどを解説します。なお、【特定技能 外食業】の採用や在留資格申請のご不明点、Linkusがお答えします。ぜひご相談ください。

外食業の現状

多くの飲食店が人材不足に悩んでいると言われています。実際に飲食店を経営されている方や、それに携わっている方は、人手が足りていないことやそれに対する不安を感じていることでしょう。そんな外食産業が人手不足に陥る原因とはなんなのでしょうか。

外食業が人手不足に陥る主な要因

求人を募ってもなかなか人が集まらないだけでなく、高い離職率によって人手不足の歯止めが効かない「外食業」。今後、少子高齢化で働き手がますます不足していく中で、早急な人材確保対策が求められている業種の一つです。その主な原因として、以下2点が挙げられます。

・人手不足が常態化している:
帝国データバンクの調査(2019年10月時点)によると、人材が不足していると回答した企業のうち、非正規社員が不足している企業は全体の29.3%いることがわかります。業種別にみると人員不足の第一位が「飲食店」であり、その割合は78%を超えています。

・他業種と比べて離職率が高い:
飲食サービス業・宿泊業における就職3年目までの大学卒業者(2014年3月卒業)の離職率は、なんと50%を超えています。全業種の平均は32.2%というところから、飲食サービス業・宿泊業の離職率の高さがうかがえるでしょう。人材を確保したとしても離職していく人が多いことは、人材不足に陥っている要因のひとつとして考えられます。離職理由は出産や育児によるものが多いようです。

参考:農林水産省食料産業局「外食・中食産業における働き方の現状と課題について

外食業は営業時間が長いまたは変則的であったり、労働環境が過酷であったりと、様々な理由から人手不足に悩まされています。人員を集まりやすくし離職率を下げるためには、職場環境や労働条件の整備が急務です。少子高齢化で日本国内で働き手を確保することが難しい現状もあるため、海外人材に目を向けることも必要となるのではないでしょうか。そのための制度として「特定技能」制度の活用がおすすめです。

在留資格「特定技能」とは

特定技能とは、日本に合法的に滞在できる資格(在留資格)の1つです。数ある在留資格の中でも、特定技能の資格を持つ外国人は日本国内での現場労働が認められています。

特定技能は、中小企業・個人事業主を中心に広がる人材不足の課題を解決するために創設されました。国内人材の確保や生産性の向上といった施策でも人材を確保できない一部の職種について、一定の専門技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく、というのが特定技能創設の趣旨です。

特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり(2021年6月時点)、外食業は「特定技能1号」のみ設定されています。特定技能1号を取得するには、後述する「技能水準」と「日本語能力水準」をクリアする必要があります。在留期間は最大5年までとなっており、原則1年ごとの更新が必要です。受け入れる企業や登録支援機関などのサポートを受けられるものの、家族の帯同は基本的に認められません。

◆特定技能に関して詳しく書かれた記事はこちら>>

特定技能「外食業」の特徴

特定技能制度によって海外人材を雇用できる受け入れ機関は「飲食サービス業を行っている事業所」です。例えば、ファーストフード店、食堂、レストラン、料理店、喫茶店、テイクアウト専門店、宅配飲食サービス店、仕出し料理店などが挙げられます。このような事業所で、飲食物調理、ホールスタッフ、店舗管理はもちろん、和食料理人としての修行も可能です。

特定技能「外食業」に関する運用要領

特定技能「外食業」の在留資格を取得した外国人は、幅広い業務に携わることができます。まずは、法務省・農林水産省編による運用要領に記載されている業務内容を見てみましょう。

(1)1号特定技能外国人が従事する業務
外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)

(中略)

〇外食業分野においては、外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)に従事する者を受け入れることとしていることから、1号特定技能外国人は、試験等で立証された能力を用いてこれらの業務に幅広く従事する必要があります。ただし、職場の状況に応じて、例えば、許可された在留期間全体の一部の期間において調理担当に配置されるなど、特定の業務にのみ従事することも差し支えありません。

(中略)

〇また、分野別運用要領に記載するとおり、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。

〇なお、関連業務に当たり得るものとして、例えば、次のものが想定されます。(注)専ら関連業務に従事することは認められません。

(1)店舗において原材料として使用する農林水産物の生産
(2)客に提供する調理品等以外の物品の販売

参考:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -外食業分野の基準について-

特定技能「外食業」を活用することで、飲食物の調理、接客、店舗の管理などだけでなく、それに関連する業務(経営管理やデリバリー、チラシ配りなど)も行うことができます。他の就労系ビザと比べても幅広く業務に携われるので、汎用性が高い在留資格だと言えるでしょう。

特定技能「外食」の海外人材に従事させてはいけない業務

外食業に関わる様々な業務ができるものの、どんな業務をしてもいいというわけではありません。

〇1号特定技能外国人に,風営法第2条第4項に規定する接待飲食等営業を営む営業所において就労させてはなりません。また,風営法第2条第3項に規定する接待を行わせてはなりません。

参考:「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-外食業分野の基準について-」の一部改正について

特定技能「外食業」によって、風俗営業許可が必要とされる1号営業(ホストクラブ及びキャバクラ等)、2号営業(カップル喫茶などの低照度飲食店)、3号営業(ネットカフェなどの区画席飲食店)といった店舗で海外人材を就労させることは禁止されています。加えて“歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなす”接客は禁止されているので注意してください。

海外人材が特定技能「外食業」を取得するための要件

特定技能「外食業」で海外人材が働ける期間は最大で5年です。技能実習生や留学生(アルバイト)の時期を活用できれば、より長期に渡って雇用することが可能です。それでは、海外人材が特定技能「外食業」を取得するための要件について解説しましょう。

「日本語能力水準」と「技能水準」を満たしていること

特定技能という在留資格を取得するためには「18歳以上であること」が必須です。特定技能「外食業」を取得するには、18歳以上であることだけでなく、下記の試験に合格していることが求められます。

・日本語能力水準:
「日本語能力試験 N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格していること。

・技能水準:
一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が運営する「外食業特定技能1号測定試験」に合格していること。試験の内容は「接客全般」「飲食物調理」「衛生管理」について。

技能実習2号を良好に修了すること

「医療・福祉施設給食製造」の技能実習2号を良好に終了した技能実習生は、上記の試験が免除されます。日本語能力や技能に関する試験を受ける必要はありません。

技能実習生である時に「医療・福祉施設給食製造」以外の実習を受けていた場合は、技能実習2号を良好に終了していたとしても、技能試験を受ける必要があります。この場合、日本語試験は免除されます。

特定所属機関(=受入れ企業)の要件

特定技能1号外国人の雇用に関して、受け入れる企業側にも以下3点の要件が求められます。

・許可された業務に従事させること:
特定技能「外食」で許可された業務は先述したとおりです。

・「食品産業特定技能協議会」への加入:
農林水産省をはじめとする関係団体、登録支援機関などが加入している「食品産業特定技能協議会」に加入し、構成員となること。また、協議会に対して必要な協力を行うこと。

・海外人材に対して支援を適切に行うこと:
特定技能制度を活用して海外人材を雇用するためには、定められた支援を適切に行わなければいけません。受け入れ企業でサポートしきれない場合は、登録支援機関に支援業務を委託します。

◆特定技能所属機関に関する詳しい内容はこちら>>

加えて、上の項で記載した「風俗営業法第2条第4項に規定されている接待飲食等営業を営む営業所で業務を行わせないこと」、「風俗営業法第2条第3項に規定されている接待飲食を営む営業所で業務を行わせないこと」なども特定所属機関に求められることです。

まとめ

2019年4月に特定技能制度が施行されたことで、以前よりも海外人材を雇用しやすくなったとともに、海外人材にとっても日本で働きやすくなることが予想されていました。しかし、2020年から続く新型コロナウイルスの影響で、特定技能に関する試験や採用が思うように進められていないのが現状です。とはいえ、コロナウイルス影響が落ち着いていくとともに、経済や国境を越えた人の行き交いの回復が予想されます。

深刻な人手不足を痛感している業種のひとつ「外食業」にとって、日本国内だけではなく海外の人材を雇用できる特定技能制度を活用しない手はありません。特定技能「外食業」は幅広い事業所が活用できる制度ですので、これまで海外人材を雇用したことがない店舗でも検討する価値はあるでしょう。「外食業」の特定技能採用は、特定技能特化型のプラットフォーム『Linkusがお手伝いいたします。ぜひご相談ください。


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