特定技能「農業」で海外人材を採用するために求められることや注意点について

特定技能

【監修】

JAPAN行政書士事務所

小山 翔太

大学卒業後、証券会社勤務を経て独立開業。行政書士として在留資格(ビザ)申請及び外国人雇用コンサルティングを専門とする。特定技能制度及び登録支援機関運営についてのセミナーも多数開催している。

出入国管理及び難民認定法が改正され、在留資格「特定技能」の制度が2019年4月に新しく施行されました。特定技能で就業できる業種は「不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」。つまり、現時点で人手が不足している、あるいは近い将来人手不足が予測される分野の業種が指定されています。この制度によって、少子高齢化が進む日本の労働力不足解消が期待されているのです。

人材不足が課題とされる産業のひとつ「農業」も、特定技能制度によって海外人材の現場労働の従事が可能となりました。この記事では、特定技能「農業」において、従事できる業務内容、資格取得条件、雇用形態、受け入れ企業に求められる要件などについて解説します。なお、【特定技能 農業】の採用や在留資格申請のご不明点、Linkusがお答えします。ぜひご相談ください。

農業分野の現状について

世界的に見て農業大国、または農業先進国と呼ばれている日本ですが、同時に高齢化という問題が深刻化しています。農家の数は過去50年以上に渡って減り続けており、日本の農家が人口に占める割合は1.6%と言われているのです。日本の農業人口は2009年のデータでは280万人を超えていたものの、そのうちの6割以上が65歳以上で、働き盛りである35歳未満の割合はたった5%前後という状態。年数が進むにつれて農業従事者の年齢はますます上がっていくことになります。

ちなみに基幹的農業従事者は2015年175.7万人でしたが、2020年には136.3万人にまで減少しています。たった5年で約40万人も基幹的農業従事者が減っているという現状。有効求人倍率は高く、2018年の農耕作業員の有効求人倍率は1.72倍という結果になっており、人手不足が深刻化している状況が伺えます。

参考:農林水産省「農業労働力に関する統計」

人手不足に陥る原因とは

農業従事者の高齢化が進む大きな要因として考えられるのは「後継者不足」です。農業に対して「朝早い」「休めない」「体力的にしんどい」「稼げない」「厳しい」といったイメージから、新しく始める人が少ない分野です。また、新たに農業を始めるとなると、土地だけでなく高額な器具や機材が必要です。多くの資金をかけてまで辛い農業に挑戦する、という方は圧倒的に少数なのです。

新規参入者が少なく、先祖代々受け継いできた世襲制が多い農家ですが、そこで生まれた若い世代が跡を継がないケースも増えています。農家に生まれた若者が都心部に流出してしまい、新しく農業を始める人が少ないという理由から、若い働き手が見つからず、高齢の方が農作業を全て行なっている農家が圧倒的に多い現状。現在の農業従事者が高齢からやがて老齢となって働けなくなってしまい、家業をたたむ農家も後を絶ちません。

農業分野の人手不足を解消させるためには、若い働き手を増やす必要があります。先程も述べましたが、35歳未満の割合はたった5%程度なので、この層を増やすことは人手不足を補う大きなファクターとなるでしょう。とはいえ、日本国内で人材を確保するのは、これまでの状況を踏まえれば明らかであるため、海外人材に目を向けることも必要となるのではないでしょうか。そのための制度として「特定技能」制度の活用がおすすめです。

在留資格「特定技能」とは

特定技能とは、日本に合法的に滞在できる資格(在留資格)の1つであり、特定技能の資格を持つ外国人は日本国内での現業労働が認められています。

特定技能は、中小企業・個人事業主を中心に広がる人材不足の課題を解決するために2019年4月に施行されました。国内人材の確保や生産性の向上といった施策でも人材を確保できない一部の職種について、一定の専門技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく、というのが特定技能創設の趣旨です。

特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり(2021年6月時点)、農業は「特定技能1号」のみ設定されています。特定技能1号を取得するには、後述する「技能水準」と「日本語能力水準」をクリアする必要があります。在留期間は最大5年までとなっており、原則1年ごとの更新が必要です。受け入れる企業や登録支援機関などのサポートを受けられるものの、家族の帯同は基本的に認められません。

◆特定技能に関して詳しく書かれた記事はこちら↓↓

特定技能とは?取得条件や対象職種を解説
2019年4月より、「特定技能」という新しい在留資格によって外国人労働者を受け入れられるようになりました。この制度を有効に活用できれば、人材不足の課題を打破できる可能性があります。この記事では、特定技能の「1号」と「2号」の違い、取得条件、

特定技能「農業」について

農業従事者の高齢化、後継者不足、そして深刻な人材不足。特定技能外国人の雇用が活発化することで、この問題を解決することはできるのでしょうか。ここからは、特定技能「農業」について詳しく解説します。

任せられる業務

特定技能「農業」で海外人材に任せることができる業務はこちらです。

◆耕種農業全般:
栽培管理、集出荷、選別などがこれに該当。栽培管理業務が含まれている必要がある。
栽培・・・畑作・野菜作業、果樹作業、施設園芸作業など。
集出荷・・・収穫した農産物の集出荷やそれに付随する作業。
選別・・・具体的には農産物の選別。「選果」を含む耕種農業全般の業務に従事することが可能。

◆畜産農業全般:
飼養管理、集出荷、選別などがこれに該当。 飼養管理の業務が含まれている必要がある。
飼養・・・酪農、養豚、養鶏など。
集出荷・・・得られた畜産物の集出荷やそれに付随する作業。
選別・・・具体的には畜産物の選別。

同じ労働条件で従事する日本人が、上記の内容に対して付随的に行う業務も行うことができます。例を挙げると、農畜産物の製造・加工・運搬、販売に関わる作業、冬場の除雪作業などがこれに該当します。

直接雇用と派遣雇用が認められている

特定技能14分野のうちほとんどの雇用形態が直接雇用のみですが、特定技能「農業」「漁業」に限っては直接雇用と派遣形態雇用が認められています。なぜなら、「農業」や「漁業」は季節によって作業量に波があるためです。派遣雇用も可能であれば、繁忙期に労働力を確保することができ、閑散期の人件費を抑えることにつながります

引用元:農林水産省「特定技能外国人の受け入れが始まりました!~受入れにあたって押さえるべきポイントとは~」P5

受入れ機関が派遣元になるためには、受入れ機関が満たすべき通常の要件に加えて,次のいずれかに該当することが求められます。

◆派遣元(受入れ機関)になるための要件:

① 当該特定産業分野に係る業務又はこれに関連する業務を行っている個人又は団体であること。
② 地方公共団体又は前記①に掲げる個人又は団体が資本金の過半数を出資していること。
③ 地方公共団体の職員又は前記①に掲げる個人又は団体若しくはその役員若しくは職員が役員であることその他地方公共団体又は前記①に掲げる個人又は団体が業務執行に実質的に関与していると認められること。
④ 外国人が派遣先において従事する業務の属する分野が農業である場合にあっては,国家戦略特別区域法第16条の5第1項に規定する特定機関であること。

出典: 外国人材の受入れ制度に係るQ&A(法務省)

一方で特定技能外国人を派遣してもらう派遣先は以下の要件を満たす必要があります。

◆派遣先になるための要件:

①労働,社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること。
②過去1年以内に,特定技能外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていないこと。
③過去1年以内に,当該機関の責めに帰すべき事由により行方不明の外国人を 発生させていないこと。
④刑罰法令違反による罰則を受けていないことなどの欠格事由に該当しないこと。

出典: 外国人材の受入れ制度に係るQ&A(法務省)

転職が認められている

特定技能「農業」は同業種内での転職が可能です。認められる条件は「同一の業務区分内、または試験等によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間」のみですので、その点だけ注意してください。特定技能「農業」で来日した場合は農業以外の他業種へ転職することはできません。「農業」「農業以外」に関わらず、アルバイトを行うことはできません。
※他業種の技能特定試験に合格している場合に限り、合格業種への転職も可能。

特定技能「農業」の取得要件とは

特定技能「農業」を取得するのに必要となる要件は、以下2点です。

◆日本語レベルN4以上の試験に合格すること:
N4レベルとは「基本的な語彙や漢字を使って書かれた身近な文章を読んで理解できる」「ややゆっくりと話される会話であれば内容がほぼ理解できる」状態です。

◆「農業技能測定試験」に合格すること:
試験の内容は「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の技能分野に分かれています。日本語音声を聞くリスニングテスト、学科試験、実技試験があり、試験時間は60分です。テキストはこちらからダウンロードが可能です。

技能実習からの移行も可能

農業分野の2号技能実習を修了した実習生は、無試験で特定技能1号へ移行することができます。ただし、耕種農業から畜産農業、もしくは畜産農業から耕種農業への移行はできません。

◆耕種農業の2号技能実習を修了した場合:
業務区分「耕種農業全般」の特定技能1号

◆畜産農業の2号技能実習を修了した場合:
業務区分「畜産農業全般」の特定技能1号

特定技能所属機関に求められる要件と注意点

特定技能「農業」を取得した海外人材を雇用する特定技能所属機関(受入れ企業)になるための要件はこちらです。

・「農業特定技能協議会」への入会:
「農業特定技能協議会」に加入し、協議会に対して必要な協力を行ことが求められます。

・一定の雇用経験:
過去5年以内に労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6カ月以上継続して雇用した経験があることが求められます。

・海外人材に対する適切な支援:
特定技能制度を活用して海外人材を雇用するためには、定められた支援を適切に行わなければいけません。受入れ企業でサポートしきれない場合は、登録支援機関に支援業務を委託します。

◆特定技能所属機関に関する詳しい内容はこちら↓↓

特定技能所属機関になるために必要とされる条件について
特定技能制度によって、以前よりも多くの外国人人材が日本で働けるようになりました。この制度を活用して、特定技能外国人を受け入れたいとお考えの企業も多いことでしょう。特定技能外国人を受け入れる企業のことを「特定技能所属機関」と言いますが、具体的

まとめ

深刻な人手不足と従事者の高齢化という課題を抱えている農業分野にとって、日本国内だけではなく海外の人材を雇用できる特定技能制度を活用しない手はありません。特定技能「農業」は直接雇用と派遣という2つの雇用形態が認められているため、海外人材を雇用したことがない農業事業者の方も検討する価値はあるでしょう。「農業」の特定技能採用は、特定技能特化型のプラットフォームLinkusがお手伝いいたします。ぜひご相談ください。

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