特定技能「ビルクリーニング」で海外人材を採用するために必要な要件や任せられる業務について

特定技能

【監修】

JAPAN行政書士事務所

小山 翔太

大学卒業後、証券会社勤務を経て独立開業。行政書士として在留資格(ビザ)申請及び外国人雇用コンサルティングを専門とする。特定技能制度及び登録支援機関運営についてのセミナーも多数開催している。

日本国内における人材不足解消に向けた取り組みとして、「特定技能」という在留資格があります。国内での人材不足を、すでに技術を持った外国人を受け入れることで解消しよう、という考えのもとに開始した制度です。
特定技能で従事することのできる業種は全部で14種類ありますが、ビルクリーニング業もそのひとつです。ビルの清潔と美観を守るビルクリーニング業務に従事する特定技能外国人の受け入れについて、その概要や要件、現状などを解説します。なお、【特定技能 ビルクリーニング】の採用や在留資格申請のご不明点、Linkusがお答えします。ぜひご相談ください。

業界の現状について

ビルクリーニング業は、その名のとおりビルの内部を清掃し、その衛生と美観などを保つための仕事のことを言います。厚生労働省によると次のように定義されています。
「ビルクリーニングは、不特定多数の利用者が利用する建築物の内部を対象に、衛生的環境の保護、美観の維持、安全の確保及び保全の向上 を目的として、場所、建材、汚れ等の違いに対し、方法、洗剤及び用具を適切に選択して場所別及び部位別の清掃作業を行い、建築物に存 在する環境上の汚染物質を排除し、清潔さを維持する作業をいう。」

人が社会を形成して生活している街であれば、「不特定多数の利用者が利用する建築物」は無数に存在しています。ビルがあれば、当然そのビルの清潔を保つ清掃業者も必要です。しかし、ビルクリーニング業界における人手不足は大変深刻な状況です。

ビルクリーニングの対象となる建築物に、「特定建築物」という枠組みがあります。特定建築物とは、「興行場、百貨店、店舗、事務所、学校等の用 に供される建築物で、延べ面積が3,000平方メートル以上 (小学校、中学校等は8,000平方メートル以上)のもの」とされています。厚生労働省の発表によると、国内の特定建築物は年々増加しており、平成29年には約45,000となっています。一方、ビルクリーニング業界の有効求人倍率は年々上昇を続け、平成29年には2.95倍と大変高い数字を示しています。クリーニングの対象となるビルは増えているにも関わらず、それに対応するだけの人的資源を確保できていないのが業界の現状と言えます。

特定技能「ビルクリーニング」とは

特定技能は、日本国内における在留資格の一つです。在留資格とは、外国籍の人が日本国内に中長期的に滞在する際必要となる資格で、その活動内容や就業の可否など様々な要件により複数の種類があります。特定技能はその中でも就業可能な在留資格の一つとして注目を集めています。
特定技能は、日本国内における人材不足の解消を目的として新設されました。特定技能の資格を有する人はどんな仕事でもできるわけではなく、従事する業種ごとに認定されます。特定技能の対象となる業種は現在14ありますが、これは日本国内において特に人手不足が深刻な業界とされています。ビルクリーニングもその一つです。

◆特定技能に関して詳しく書かれた記事はこちら↓↓

【2023年6月更新】特定技能とは?取得条件や対象職種を解説
2019年4月より、「特定技能」という新しい在留資格によって外国人労働者を受け入れられるようになりました。この制度を有効に活用できれば、人材不足の課題を打破できる可能性があります。この記事では、特定技能の「1号」と「2号」の違い、取得条件、

概要

特定技能の在留資格を得るためには、その分野において業務を遂行するための知識や技能を有している必要があります。国内で特に人手不足が深刻な分野において、即戦力として活躍できることが求められているのです。これは、業界内で0から技術者を育てる手間や労力を解消し、できるだけ負担なく人材確保ができるという点において、受け入れ側からすると大きなメリットと言えます。

ビルクリーニング業務に従事できる在留資格として、特定技能の他に「技能技能実習」というものもあります。技能実習とは、日本国内において実際に業務に従事しながらその業務に必要な技術を学ぶというものです。技能実習の目的は技能の習得です。そのため、在留資格取得の段階では業務についての知識や技術は必ずしも求められません。
一方、特定技能の目的は国内の人材不足の解消であり、現場において即戦力として活躍できる人材であることが資格取得の要件とされています。つまり、在留資格を得る段階でその業務においてある程度以上の知識または経験を有していることが求められるのです。

任せられる業務

ビルクリーニングの特定技能で従事できる業務は、最初に紹介した、厚生労働省が示す「ビルクリーニング」の定義に準じた業務です。つまり、ビルの内部の衛生環境や美観などを守るための清掃業務ということになります。
ちなみに、ビルクリーニングの対象となる建物はオフィスビルや商業施設だけではありません。居住を目的とした建物に関しても、専有部分以外はビルクリーニングの対象となります。つまり、マンションの共有部分やホテルなどの宿泊施設も含まれるということです。

また、ビルクリーニングの業務内容として、宿泊施設のベッドメイクも含まれるようになりました。ホテルでの仕事については、「宿泊」という分野ででも特定技能制度を活用することができます。しかし、ベッドメイクについてはビルクリーニング業者がホテルから業務を請け負い、実際の作業を特定技能外国人が行うことも可能ということです。その他、ホテル以外でのベッドメイクについても、ビルクリーニング作業に関連する業務として従事が認められています。例えば病院や介護施設でのベッドメイクなど、今後活躍の場が広がっていく可能性もあります。

雇用形態や報酬など

ビルクリーニング分野において特定技能の在留資格を持つ外国人を雇用するためには、直接雇用契約を結ぶ必要があります。派遣などの形態では受入れすることができないため、注意が必要です。
また、報酬やその他待遇についても、その業務に従事する日本人と同等もしくはそれ以上であることが求められます。外国人労働者というと、日本人よりも安い賃金で働く、というイメージがある人もいるかもしれません。しかし、特定技能において、それは要件に適っていないということになります。
特定技能は、あくまでも人材不足を解消するための取り組みです。足りない人材リソースを補うための制度であり、人材確保のコストを下げるための取り組みではないのです。むしろ、特定技能の在留資格を有しているということは、その分野における相当程度の技術を有する人材であることの証明であるとも言えます。このような能力のある人材は、国籍に関わらず正当に処遇されるべきという考え方でもあります。

特定技能「ビルクリーニング」の取得要件

特定技能「ビルクリーニング」の在留資格を得るためには、(1)ビルクリーニング分野における技能があること(2)業務遂行に必要な日本語能力を有していることの両方を証明する必要があります。具体的には、次のように定められています。
(1)ビルクリーニング分野の技能:公益財団法人全国ビルメンテナンス協会の実施するビルクリーニング分野特定技能1号評価試験に合格する
(2)日本語能力:「日本語能力試験(JPLT)」においてN4以上のレベルに合格する、または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)(国外)」に合格する

ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験は、ビルクリーニングに関する知識と技術を測る試験で、日本国内・国外の複数箇所で実施されています。試験内容はペーパーテストと実技試験の両方があり、清掃方法や道具、洗剤の選択などといった内容が出題されます。

なお、ビルクリーニングの分野において技能実習を良好に終了している場合には(1)(2)共に試験が免除されるとされています。つまり、日本国内でビルクリーニングに関する技能実習を修了しているということは、ビルクリーニングに関する技術と知識を獲得できていると判断されるということです。また、日本語を用いて実習を修了できているのですから、業務遂行に必要な日本語能力もあると推定されます。
ちなみに、ビルクリーニング以外の分野で技能実習を修了している場合、(1)の試験免除を受けることはできませんが、(2)の日本語能力については試験を免除されます。

特定技能所属機関に求められる要件と注意点

特定技能外国人を雇用するためには、受け入れ企業側にも満たすべき要件やおさえておくべきポイントがあります。日本人の人材を雇用する場合と異なる点も少なくありませんので、雇用を検討している場合はできるだけ要件を理解し、不備のないように準備を進めることが大切です。

◆特定技能所属機関に関して詳しく書かれた記事はこちら↓↓

特定技能所属機関になるために必要とされる条件について
特定技能制度によって、以前よりも多くの外国人人材が日本で働けるようになりました。この制度を活用して、特定技能外国人を受け入れたいとお考えの企業も多いことでしょう。特定技能外国人を受け入れる企業のことを「特定技能所属機関」と言いますが、具体的

建築物環境衛生総合管理業の登録について

ビルクリーニングの分野において特定技能外国人を雇用するためには、建築物環境衛生総合管理業に登録している必要があります。これは「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(略称:建築物衛生法)に基づいた登録制度で、ビルクリーニングの技術を担保し、ビルを利用する人の健康促進を目的として作られたものです。
実際に行うビルクリーニングの業務内容により1号から8号まで細かく分かれています。このうち、特定技能外国人を受け入れるためには1号「建築物清掃業」もしくは8号「建築物環境衛生総合管理業」に登録されていることが必要です。詳細は次の通りです。

  • 1号「建築物清掃業」:ビルにおいて、床などの清掃を行う事業のこと。ビルの外壁や窓の清掃のみの場合は含まれないため注意が必要です。
  • 8号「建築物環境衛生総合管理業」:ビル内の環境に関わる総合的な業務。ビル内の清掃はもちろん、空調設備や換気設備の運転、空気環境の測定、給水や排水に関わる設備の管理なども含まれます。

これらに登録されるためには、物的基準と人的基準、質的基準を満たす必要があります。
物的基準とは、その業務遂行に必要な機械や器具を有しているということです。例えば1号であれば真空掃除機や床磨き機、8号であれば空気の測定機器などを有している必要があります。
人的基準とは、業務の監督や実業務の従事にあたる人が、それを行えるだけの技能や資格を有しているということです。指定の資格を有している、講習を修了しているなどの要件を満たす必要があります。

ビルクリーニング分野特定技能協議会の加入について

特定技能外国人を雇用する企業は、その分野における特定技能協議会に加入する必要があります。ビルクリーニング分野の場合、厚生労働省生活衛生課の設置する「ビルクリーニング分野特定技能協議会」がそれに当たります。なお、協議会への加入は特定技能外国人を雇用してから遅くとも4ヶ月以内に行う必要があります。
この協議会は、特定技能外国人ができるだけ安心してかつ安全に業務に従事することができることや、日本での生活において適正なサポートを受けることができる環境を整えるために機能しています。

まとめ

日本国内、特に人口の集中する都市部においては、たくさんのビルが立ち並んでいます。人が集まり活動する場であるからこそ、そのビル内を清潔でかつ快適な空間に保つことは大切です。すべてのビルの環境を守るために必要な人材は膨大です。国内における人材不足を解消するための特定技能の取り組みは、ビルを利用する全ての人にとって大きな意義を持つものでもあります。
ビルクリーニング業とは、日本の社会と、それを支える市民一人一人を支える大変重要な産業であると言えます。そのような不可欠な産業を守るため、そして、業務を全うし本当に安心して利用できるビル内環境を実現するためにも、特定技能の仕組みを上手に活用し、優秀な人材を確保したいものです。なお、【特定技能 ビルクリーニング】の採用や在留資格申請のご不明点、Linkusがお答えします。ぜひご相談ください。

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