登録支援機関の業務|特定技能外国人への義務的支援と任意的支援について【2023年4月更新】

登録支援機関

【監修】

ON行政書士事務所

長江 修

大手新聞社ニュースサイト制作や企業広報を経て行政書士資格を取得し、2017年に東京・上野にてON行政書士事務所を開業。「皆様の暮らしやビジネスの良きパートナー」であることをモットーに、【在留資格の書類作成・申請取次】をはじめ、【建設業許可】【古物商許可】などの各種行政手続き書類作成・申請代理を中心に展開。最近では【持続化給付金】【家賃支援給付金】などコロナ支援制度の対応も多い。また、経歴を活かし【ホームページ制作】など行政書士以外の業務も取り扱う。

登録支援機関のおもな業務は、支援計画に基づいて特定技能外国人への支援を実施することです。支援業務には「義務的支援」「任意的支援」があり、適宜受入れ機関(特定技能外国人を雇用する機関)との連携も求められます

特定技能制度については、関係法令に基づいた各種の運用要領が法務省・出入国在留管理庁から出されており、実務上はこれらが最大の典拠となります。運用要領をもとにして、登録支援機関の支援業務の要点を見ていきましょう。

登録支援機関の支援業務の概要

登録支援機関は支援計画に盛り込まれたすべての支援業務を引き受けることが必要です。また、再受託は禁止されています(ただし、支援業務の補助として通訳やタクシーを利用するといったことは問題ありません)。支援計画については下記の運用要領やガイドブックに詳しく述べられています。

>> 支援に関する運用要領:1号特定技能外国人支援に関する運用要領」

>> 特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ:「特定技能 ガイドブック

支援計画の作成は受入れ機関の義務ですが、登録支援機関が作成の補助などを行うことは問題ないとされています。登録支援機関としては、支援計画に関する規定を正確に把握した上で、支援計画作成のための適切なサポートを提供することが期待されています。支援計画の概要については特定技能基準省令の第3条・第4条で定められていますが、運用要領ではこれを具体化して以下の9項目に整理しています。

◆特定技能外国人支援計画の内容

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保や生活に必要な契約に関する支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 日本語学習の機会の提供
  6. 相談・苦情への対応
  7. 日本人との交流促進
  8. 転職支援(受入れ機関の都合による契約解除の場合)
  9. 定期的な面談と行政機関への通報

さらに、各項目の内容は「義務的支援(必ず行うべきもの)」と「任意的支援(行うことが望ましいもの)」に分けられています。

特定技能外国人に対する義務的支援

義務的支援は受入れ機関または登録支援機関が必ず実行しなければならない支援であり、支援計画にはそのすべての事項が記載されていなければなりません。

登録支援機関が登録を受けるには義務的支援のすべてに適切に対応できる体制を有していることが求められ、義務的支援の実行に問題があると見なされれば当局による指導や登録取消しの対象となります。

では、9つの項目について義務的支援の要点を見ていきましょう。

①事前ガイダンスに関する義務的支援

特定技能外国人が在留資格申請を行う前の段階で、雇用契約や活動内容、入国方法や日本での生活について事前ガイダンスを行うことが義務づけられています。具体的には、次の事項についてガイダンスを行います。

◆事前ガイダンスの内容
・業務内容や報酬額などの労働条件を明示
・日本で従事できる活動内容を説明
・在留資格証明書の受け取りから入国手続きまでの流れを説明
・特定技能の雇用契約に関連して、外国人本人や近しい関係者が保証金徴収などの経済的束縛を受けたり違約金・契約を結んだりしていないことを確認
・外国人が雇用契約の取次や活動準備に関し外国の機関から有償で支援を受けている場合は、その金額・内訳について当人が理解の上で合意していることを確認
・義務的支援に関する費用はすべて受入れ機関が負担することを説明
・入国が行われる港・飛行場から受入れ機関事業所や住居まで送迎が行われることを説明
・適切な住居を確保するために行われる支援の内容を説明
・公私の生活に関する相談・苦情受付け体制(相談方法や受付時間など)を説明
・支援担当者の氏名・連絡先を提示

事前ガイダンスは、外国人が十分に理解できる言語を用いながら、対面やビデオ通話など、本人を確認できる方法によって行わなければなりません(文書や電子メールの送信のみでは不可)。

また、「事前ガイダンスの確認書」を用意し、実施後に外国人当人の署名をもらった上で、在留資格申請時に添付することが必要です。確認書には実施日と実施時間を記入する箇所もあり、ガイダンスには3時間程度はかけるのが標準的な目安とされています(1時間に満たないよう場合は不適切と評価される可能性があります)。

②出入国する際の送迎に関する義務的支援

上陸手続きを受ける港・飛行場から受入れ機関事務所や外国人当人の住居までの送迎と、出国時の港・飛行場までの送迎が義務となっています。出国時には保安検査場まで同行し、実際に入場するまで見届けなければなりません。

③住居確保や生活に必要な契約に関する義務的支援

入国時や国内で転居が必要になった場合に、外国人の希望に基づいて住居確保のための支援を行うことが義務づけられています。

具体的には以下のいずれかの方法で支援を行います。

  • 賃貸物件に関する情報提供を行い、必要に応じて同行して住居探しを手伝う
  • 必要であれば受入れ機関または登録支援機関が連帯保証人になるか、家賃債務保証業者を確保した上で保証料を負担し、自らが緊急連絡先となる
  • 受入れ機関または登録支援機関が自ら賃貸借契約を結び、費用負担などについて外国人の合意を得た上で住居として提供する
  • 費用負担などについて外国人の合意を得た上で社宅を住居として提供する

その際、居室の広さは1人あたり7.5平方メートル以上であることが求められます(ルームシェアの場合は居室全体の面積を居住人数で割った面積が7.5平方メートル以上)。

また、金融機関口座の開設、携帯電話の契約、電気・ガス・水道などの契約に関しても、必要な書類の提供や窓口の案内を行い、必要に応じて同行して手続きを補助することが必要です。

④生活オリエンテーションに関する義務的支援

日本での生活全般について、入国後に遅滞なくオリエンテーションを行う必要があります。外国人が十分に理解できる言語を用い、標準的な目安として8時間以上かけて行うこととされています。事前ガイダンスと同様に確認書の作成・署名・提出が必要です。

対面ではなくDVD視聴などによって行うことも可能ですが、その場合は外国人の質問などに適宜対応できるようなコミュニケーション体制を確保しておくことが求められます。

具体的には以下の事項についてオリエンテーションを行います。「2.国・行政機関への届出・手続き」については、必要に応じて窓口への同行や書類作成の補助を行うことも求められます。

◆生活オリエンテーションの内容
1.生活一般に関する事項
・金融機関、医療機関、交通機関の利用方法
・交通ルールや必要な免許など
・生活ルールやマナー
・生活必需品の購入方法
・気象情報や災害情報の入手手段
・注意すべき違法行為の例(銃砲刀剣類の所持、大麻所持、在留カードの不携帯・貸し借りなど)

2.国・行政機関への届出・手続き
・雇用契約や受入れ機関自体に変更があった場合の届出
・住所の届出・社会保障、税金に関する手続き
・マイナンバーカードの手続きと利用方法の説明
・その他の行政手続き(自転車防犯登録など)

3.相談先・苦情申出先の情報
・支援担当者の氏名、連絡先
・相談や苦情申出を受け付けている公的機関の情報

4.外国人に対応できる医療機関の情報
・通訳が利用できるなど、外国人患者の受入体制が整っている医療機関の情報
・医療通訳雇い入れ費用などをカバーする民間医療保険への加入案内

5.防災・防犯・緊急時対応に関する事項
・防災、防犯に関する留意事項
・緊急時の連絡先、通報の方法
・気象情報や避難指示などの把握方法と避難場所
・携帯電話の緊急速報メールの使い方

6.出入国または労働に関する法令違反への対応
・入管法令と労働関係法令に関する知識
・入管法令、労働関係法令、特定技能雇用契約に対する違反があった場合の相談先
・人権侵害があった場合の相談先
・年金受給に関する知識や相談先

⑤日本語学習の機会の提供に関する義務的支援

外国人当人の希望に基づき、過度な学習費用が発生しないように留意しながら、以下のいずれかの方法で支援することが求められます。

  • 地域の日本語教育機関、自主学習のための教材やオンライン講座に関する情報を提供し、必要に応じて窓口同行、教材入手などの補助を行う
  • 外国人の合意のもと、受入れ機関または登録支援機関が日本語教師と契約して日本語講習の機会を用意する

⑥相談・苦情への対応に関する義務的支援

特定技能外国人から業務や日常生活に関する相談・苦情申出を受けた際には、外国人が理解できる言語を用いて遅滞なく対応し、内容に応じて適切な助言や指導を行うことが義務づけられています。必要であれば公的な相談機関を案内し、同行して手続きの補助などを行うことも求められます。

また、1週間のなかで勤務日のうち3日以上、休日のうち1日以上は相談・苦情に対応できるようにし、夜間にもメールなどで対応できるような体制を整備しなければなりません。登録支援機関は受入れ機関の勤務スケジュールに対応した相談体制を用意する必要があります。

相談・苦情の内容は記録し、公的機関への相談・通報を行ったものについては支援実施状況に関する定期届出の際に記載する必要があります。

⑦日本人との交流促進に関する義務的支援

自治体やボランティア団体が開催する交流促進事業や地域で行われる行事などについての情報を提供し、必要に応じて同行して参加手続きの補助を行ったり、行事への加わり方を実地に説明したりするなどの支援を行うことが求められます。

⑧転職支援に関する義務的支援

人員整理や倒産など受入れ機関の都合で雇用契約を解除する場合には、求職活動を行うための有給休暇を付与し、離職にあたり必要となる行政手続きに関する情報を提供するともに、以下のいずれかの支援を行う義務があります。

  • 業界団体や関連企業などを通じて次の受入れ先の情報を取得し外国人に提供する
  • ハローワークや民間の職業紹介事業者などを紹介し、必要に応じて同行して職探しを助ける
  • 外国人の希望条件や能力をふまえて推薦状を作成する
  • 受入れ機関や登録支援機関が職業紹介事業を行う許可を得ている場合は、自ら就職先の紹介あっせんを行う

受入れ機関の都合による離職で転職支援を行った場合には、支援実施状況に関する定期届出に支援内容を記載しなければなりません。

⑨定期的な面談・行政機関への通報に関する義務的支援

支援責任者または支援担当者は、外国人当人とその監督をする立場の者(指揮命令権を有する者)それぞれに対し、定期的に(3か月に1回以上)、直接対面して面談を実施することが求められます。外国人に対してはもちろん十分に理解できる言語を用いることが必要です。

その際、外国人に対しては「④生活オリエンテーション」の内容のうち「1.生活一般に関する事項」と「5.防災・防犯・緊急時対応に関する事項」について必要に応じて再度オリエンテーションを行います。

面談内容は報告書に記載し、支援実施状況に関する定期届出を行う際に添付する必要があります。また、面談で出入国法令や労働法令に違反する事実を把握した場合には、関係当局に通報した上で、受入れ機関の責任者にその事実を報告するとともに、届出書を地方出入国管理局に提出しなければなりません。

特定技能外国人に対する任意的支援

任意的支援は義務的支援に加えて行うことが望ましいとされる支援です。支援計画に記載するかどうかは任意ですが、記載した場合には実施の義務が生じることに注意が必要です。

義務的支援を適切に遂行する上で任意的支援が実質的に必要になる場合があると考えられますし、登録支援機関としてのサービスの質にも関わる問題ですので、任意的支援については総合的に判断することが求められます。

それでは、各項目の支援内容を見ていきましょう(なお、「⑧転職支援」については任意的支援は存在しません)。

①事前ガイダンスに関する任意的支援

入国から就業までの過程で外国人の身の回りに関し問題になる事項についても、情報提供を行うことが望まれます。例えば以下のような事項です。

  • 日本の気候や適した服装
  • 本国から持参すべき(したほうがよい)物と持参してはならない物
  • 当面どのような費用がいくら必要となるか
  • 受入れ機関から支給される物品(作業着など)

また、事前ガイダンス後も外国人からの相談に随時適切に対応し、円滑に就労が開始できるようにすることが望まれます。

②出入国時する際の送迎に関する任意的支援

技能実習2号から特定技能1号へ変更するなど、すでに何らかの在留資格で日本に在住している外国人を特定技能外国人として雇用する場合は、送迎の義務はありません。ただし、送迎を実施しない場合には交通手段や緊急時の連絡手段などについて的確に伝えておくことが望まれます。

③住居確保や生活に必要な契約に関する任意的支援

雇用契約の解除・終了後、次の受入れ先が決まるまでの間に住む住居の契約や、義務的支援に含まれないその他の生活上の契約についても、必要に応じて義務的支援と同様の支援を提供することが望まれます。

④生活オリエンテーションに関する任意的支援

国・行政機関への届出・手続きのうち国民健康保険と国民年金に関しては、外国人当人が手続きを行う必要があるため、窓口へ同行して手続きの補助を行うことが望ましいとされています。

⑤日本語学習の機会の提供に関する任意的支援

支援に関する運用要領では任意的支援として以下のような例が挙げられています。

  • 職員による日本語の指導や講習に関する積極的な企画、運営
  • 日本語能力試験の受験支援や、資格取得者への優遇措置の実施
  • 日本語学習に要する費用の補助

⑥相談・苦情への対応に関する任意的支援

外国人自身で直接公的な機関などに相談・苦情申出を行えるようにあらかじめ相談窓口の一覧を提供しておいたり、登録支援機関内に相談・苦情受付専門の窓口やメールアドレスを設置したりすることが望まれます。

また、特定技能外国人の労災に関する手続きが円滑に行えるように、外国人の家族などに対する情報提供の窓口として機能することも期待されています。

⑦日本人との交流促進に関する任意的支援

外国人自身が行事への参加を希望している場合には勤務時間調整や有給休暇付与といった配慮を行うことが望ましいとされており、登録支援機関としては、そうした場合に受入れ機関に配慮を打診するなどの対応が考えられます。また、登録支援機関が率先して日本人との交流の場を設けることも期待されています。

⑨定期的な面談・行政機関への通報に関する任意的支援

問題が生じた場合に外国人自らが通報を行いやすいよう、関係当局の窓口一覧などをあらかじめ提供しておくことが望まれます。

支援に関して受入れ機関側に求められること

受入れ機関は登録支援機関に支援の全部を委託するわけですが、完全に任せきりでは適切な支援が確保されるとは言えません。そもそも支援計画作成の責任は受入れ機関にあり、支援内容は業務内容や受入れ機関の組織のあり方とも関わってきますので、支援計画作成に対しては受入れ機関が積極的な立場で関わることが必要です。

また、上で挙げた支援事項のなかには受入れ機関の協力なくしては成り立たないものが存在します。「⑧転職支援」では、特定技能外国人に求職活動を行うための有給休暇を付与することが義務づけられており、「⑦日本人との交流促進」では、任意ながら、行事などへの参加について勤務時間の配慮や有給休暇の付与が期待されています。さらに、「⑨定期的な面談・行政機関への通報」では受入れ機関の職員・役員との定期的な面談が義務とされていますので、受入れ機関側も柔軟に対応することが求められます。

なお、登録支援機関に関する記事はこちらも参考にしてみてください。

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1号特定技能外国人の支援業務を受託、支援計画の全部の実施をしようとする事業者は、出入国在留管理局に申請することで登録支援機関として登録を受けることができます。登録支援機関となれば、法令に則った適切な支援を提供する事業者として公的に認められる
登録支援機関の登録(更新)に必要な提出書類一覧と作成上の注意点【2023年5月更新】
特定技能外国人の登録支援機関として登録を受ける(または登録を更新する)際には、申請書と手数料に加え、立証資料を提出する必要があります。申請に関わる書類は全部で16種類あり、すべての申請者が提出するものと、個人・法人別に応じて提出するもの、特

まとめ

特定技能外国人に関する支援計画の作成や支援の実施においては、登録支援機関と受入れ機関の柔軟な連携が欠かせません。また、支援計画作成や事前ガイダンスなどは外国人の入国前に行われるため、現地(送り出し国)との間で情報のやり取りをする必要があります。支援業務は当局への申請や届出にも関係しています。

Linkus(リンクス)では、登録支援機関と受入れ機関の連携や、日本と現地の間でのやり取りを、情報の共有・管理の側面からサポートしています。申請や届出に必要な書類の作成を補助する機能なども提供しておりますので、支援業務の効率化にご活用いただければ幸いです。

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