【特定技能】制度はどの国の人材を採用できるのか?対象国に関する注意点も解説

特定技能

2019年に施行された在留資格【特定技能】は、コロナ禍の影響によって国内在留者を対象に数を増やしてきました。渡航制限が緩和された2023年以降は受け入れ数を急拡大していくと予想されます。特に、日本国内だけでは人材を確保できない企業にとって有効的な制度です。

海外人材採用を検討し始めた際に「どの国の方を特定技能外国人として受け入れられるのか」「国別に採用のルールや決まりはあるのか」といった疑問に直面する企業やご担当者も多いかもしれません。この記事では、【特定技能】として受け入れられる国籍や、現状の受け入れ数について解説します。受け入れ数が多い国に絞って注意したい点についても記載しているので参考にしてみてください。なお、【特定技能】の採用や在留資格申請のご不明点、[Linkus]がお答えします。ぜひご相談ください。

特定技能は原則、どの国籍の方でも取得が可能

日本政府と諸外国との二国間協定、経済連携協定(EPA)、技能実習の受け入れ対象国に関する情報から、【特定技能】も限られた国だけが受け入れ対象国だというイメージをお持ちの方も多いようです。しかし原則、在留資格【特定技能】はどの国籍の方でも、取得が可能です。

ただし、例外として、改正出入国及び難民認定法違反による退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域(具体的にはイラン・イスラム共和国)の方は【特定技能】で日本に入国することはできません。

特定技能に関して詳しく書かれた記事はこちら ↓↓

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特定技能で就ける仕事とは? 対象となる業種一覧
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日本と二国間協定を締結している国

二国間協定(特定技能に関する二国間の協力覚書 / MOC)とは、特定技能外国人を送り出す各国と日本が締結した取り決めのことです。【特定技能】制度という仕組み・プロジェクトを円滑に進め、送り出し・受け入れに関するルール等が定められています。日本と二国間協定を締結している国は以下です。

・ベトナム
・フィリピン
・カンボジア
・インドネシア
・タイ
・ミャンマー
・ネパール
・モンゴル
・ウズベキスタン
・スリランカ
・インド
・バングラデシュ
・パキスタン
・マレーシア
・ラオス
※2023年4月時点

前にも記した通り原則、どの国籍であっても在留資格【特定技能】は取得可能です。しかし、現状は二国間協定を締結している国出身の方が【特定技能】を取得して来日するケースが多い傾向にあります。

参考:
特定技能に関する二国間の協力覚書 – 出入国在留管理局
特定技能在留外国人数 – 出入国在留管理局

特定技能外国人の受け入れ数No.1はベトナム

特定技能外国人の受け入れ数に関して国籍別に見ると、圧倒的にベトナムが多く、次いでインドネシア、フィリピン、中国、ミャンマー、カンボジア、タイ、ネパールというのが現状です。(2022年12月時点)

引用元:特定技能在留外国人数 – 出入国在留管理局
引用元:特定技能在留外国人数 – 出入国在留管理局

日本に在留している技能実習生の他、日本語学校生や専門学校生といった留学生が技能試験の受験をするケースが多く見受けられます。技能実習はベトナム国籍の方が多く占めていることから、【特定技能】も必然的にベトナム国籍の方が多くなる傾向にあるようです。

参考・引用:
特定技能在留外国人数 – 出入国在留管理局

特定技能制度を活用している企業へのインタビュー記事はこちら↓↓

「得た知識とノウハウを可視化していく」介護業界全体を見据える株式会社あきた創生マネジメントの海外人材との向き合い方
深刻化する人手不足解消を見据えた制度【特定技能】ですが、実際はそれ以上の成果を手にしている企業があります。「日本人スタッフは海外人材へ技術を伝えるノウハウが得られますし、外国人スタッフは日本の技術を習得することで世界に広げていける。」と語る
言語等が不安だった取引先も「海外人材はなくてはならない存在」と思うほどに。介護事業35年以上の株式会社ツクイ
日本国内において少子高齢化の流れは止まることを知りません。その影響で国内の介護人材需要は伸び続け、人手不足がますます深刻化していくことが予想されています。こういった状況を踏まえ、日本国内だけでなく海外の人材に注目していらっしゃる企業や施設の

国別!特定技能採用に関する注意点

ここからは受け入れ数の多い国籍をいくつかピックアップし、特徴について解説します。

ベトナム

先にも述べた通り【特定技能】で働くベトナム国籍の方が多い理由は、技能実習生や留学生として来日した人が、【特定技能】の在留資格に変更するケースが多いためだと考えられます。新型コロナウイルス感染症の影響で帰国困難となった方も多く、日本で働き続けるために【特定技能】へ資格変更された方も多いようです。

ベトナム国籍の方を【特定技能】として採用する際に注意すべきことはこちらです。

◆DOLAB認定の送り出し機関を利用すること:
ベトナムと日本は二国間の協力覚書を交換しています。新しく日本へ入国する方を採用する場合、まずベトナム現地での手続きが必要です。DOLAB(ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局)に認定された送り出し機関と、採用したい日本の受け入れ企業が労働者提供契約を締結します。DOLABが労働者提供契約を承認後、日本の受け入れ企業は求職者と雇用契約を結ぶことができます。

◆DOLABの“推薦者表交付申請”:
日本の受け入れ企業が求職者と雇用契約を締結後、ベトナムの送り出し機関を通してDOLABへ申請を行い推薦者表を取得します。推薦者表がない場合、日本入国時に必要な在留資格認定証明書の交付申請ができないため注意してください。

以下は日本国内にすでに在留しているベトナム国籍の方を採用する際に気をつける点です。

◆駐日ベトナム大使館の“推薦者表交付申請”:
日本に在留しているベトナム国籍の方を【特定技能】として採用する際、推薦者表の取得が必要です。駐日ベトナム大使館に推薦者表交付申請を行えば取得できます。問い合わせはベトナム語で行われるため、求職者本人や会社に在籍しているベトナム国籍の方に対応・サポートしてもらうのがいいでしょう。

インドネシア

インドネシア国籍の方を【特定技能】として採用する場合、送り出し機関を通すことは必須ではありません。その代わり、受け入れ企業はインドネシア政府が立ち上げたオンラインシステム[IPKOL(労働市場情報システム)]へ登録することで、同じく登録している求職者とマッチングして採用することが可能になります。

求職者と雇用契約を結んだ後、在留資格認定証明書を出入国在留管理庁に申請し、交付され次第、求職者に送付します。その後、大使館にビザの申請をし、交付され次第、日本への入国が可能になります。

日本にすでに在留しているインドネシア国籍の方を採用する場合、在留資格を【特定技能】へ変更します。求職者と雇用契約を締結し、求職者本人が“SISKOTKLN”に登録すると“E・KTKLN”が発行されるため、在日インドネシア大使館へ海外労働者登録手続きを提出します。登録手続き証明(推薦状)が発行されたら、出入国在留管理庁で【特定技能】に関わる在留資格変更許可申請を行ってください。

フィリピン

フィリピンは海外で働く方が多いことから、フィリピン国籍の方を守るための海外雇用庁(Philippine Overseas Employment Administration / POEA)という役所が存在します。POEAが受け入れ企業の勤務予定先を審査し、企業の登録情報や労働者との契約内容が適正かをチェックし、合格した場合に就労が許可されます。POEAの海外出先機関であるPOLO(Philippine Overseas Labor Office)は駐日フィリピン大使館・領事館にあるため、ここで手続きを行います。

また、フィリピンと日本は二国間協定を結んでおり、フィリピン労働雇用省(DOLE)が『特定技能の在留資格における日本への労働者の送出しに関するガイドライン』を公表しています。各種関連用語の定義の他、認められた送出機関名の公表、海外雇用証明書(OEC)の発行条件や手続き、労働者からの費用徴収などについて記載されています。

さらにフィリピン側のエージェントと直接契約をすることが求められています。日本国内にすでに在留しているフィリピン国籍の方と契約する場合も求められる点が、他の国とは異なるため注意しましょう。

中国

中国は日本と二国間協定を結んでおらず、【特定技能】に関する運用ルールはありません。したがって、現時点では現地での技能試験の予定もありません。日本で【特定技能】の試験を受けることが可能であるため、留学生から切り替える方が多く見受けられます。また、短期ビザで日本に入国し、試験を受けて【特定技能】を取得してから再入国することが可能です。

ミャンマー

東南アジアの中でも特定技能外国人の受け入れ数が多くなると期待されていたミャンマー。コロナ禍に現地での試験が中断されたため、現在は数が伸び悩んでいますが、今後伸びてくるのではないでしょうか。採用の際にミャンマー政府が認定した送り出し機関を通すことが必須ですが、それ以外は多大な工数が発生するフローはないので、企業にとって受け入れやすい国籍ではないでしょうか。

◆政府認定の送り出し機関を経由する:
ミャンマー国籍の方を【特定技能】として採用する場合、ミャンマー政府が認定した現地の送り出し機関を通して人材紹介・雇用契約の締結を行います。ミャンマー政府が認定している送り出し機関については、出入国在留管理庁『ミャンマーの送り出し機関』で確認できます。日本にすでに在留しているミャンマー国籍の方を採用する場合は政府認定の送り出し機関を経由する必要はありません。

◆海外労働者身分証明カード(OWIC)の申請:
求職者は採用が決まったら、海外労働者身分証明カード(OWIC)の申請が必要です。受け入れ企業ではなく求職者(労働者)が実施します。この手続きに不備があると雇用契約を締結しても就業してもらえないため、受け入れ企業側も認識・サポートするのがいいでしょう。

まとめ

海外人材が日本で就労する際には、送り出す側の国、受け入れる側の国、様々な機関の法令やガイドラインが存在します。それは【特定技能】に限ったことではなく、労働者を守るために定められているのです。

とはいえ、それら全てを把握した上で不慣れな海外人材採用、煩雑な書類手続き、受け入れに必要なサポート等を行うことは難しいと感じる企業も多いようです。【特定技能】採用は、【特定技能】の支援業務管理プラットフォーム[Linkus]がお手伝いいたします。ぜひご相談ください。

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