
外国人雇用をテクノロジーで支援するBEENOS HR Link株式会社(以下「BEENOS HR Link」)は、 「外食の「特定技能」新規受付停止の今、取り組むべき外国人従業員の定着・育成戦略セミナー」というテーマのウェビナーを、2026年6月4日に開催しました。
このウェビナーでは、BEENOS HR Link代表の岡﨑陽介を聞き手に、全国にラーメンやレストラン店を展開する株式会社 INGS(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:青柳誠希、以下 INGS)取締役人事部長である磯野勇氏を講師に招き、特定技能外国人従業員の定着・キャリアアップにつながる教育や育成戦略を豊富な事例を元に解説いただきました。
特定技能「外食」の新規受入れ停止が続いている状況において(2026年6月時点)、外国籍従業員に長期的なキャリア形成に向き合ってもらうための取り組みのヒントになるお話しを抜粋し、全4部編成でお届けします。
外食業の新規受付停止を受けた今後の戦略と、これからの採用 ― 国外からの計画採用ストップ。国内転職市場における「初任給3段階」の仕掛け
【BEENOS HR Link 岡﨑(以下岡﨑)】
勉強会も懇親会も、現場の非常に良い雰囲気がスタッフの皆さんのモチベーションに直結していることが本当によく伝わってきます。
さて、ここからは最後の質問になりますが、今回のセミナーの大きなテーマでもある「これから」の戦略についてです。昨今、外食業における特定技能の新規受け入れが一時停止(※受け入れ上限に達したことによる国の方針)となったニュースは、業界内に大きな衝撃を与えました。
この状況を受けて、磯野さんをはじめ御社の中で、「いま働いている特定技能の方々にどうなってもらおうか」という考え方や、今後の採用に対する考え方に何か変化、あるいは「ここを変えていかなきゃいけないな」という要素はありましたでしょうか?
【INGS 磯野氏(以下、INGS 磯野)】
既存の従業員に対する方針としては、まさに今までお話ししてきた通りで、「より2号の取得支援を強めて、さらに長く働いてもらおう」という点に尽きます。元々そうした意向は会社として持っていたのですが、今回の新規停止の発表を受けて、その方針がより一層強まったというのは確実にお答えできる変化ですね。
そして今後の「採用」に関しましては、当初、今期(2026年8月末まで)の特定技能の採用目標を50名に設定していました。現時点で一応ベースとして53名を採用できているので、今期の数字はクリアしています。当初は来期も同じくらいの規模(年間50名ペース)で進めようと考えていたところにあの発表がありましたので、一応来期の計画は少し抑えて、仮で「年間40名ほど」を想定しています。
では、この40名の採用枠をどこから確保するのかというと、これはもう国内における「転職者(他社からの移籍)の取り合い合戦」に正面から参加するしかないなと考えています。国外からの新規入国が望めない以上、すでに日本国内の他社で働いている特定技能の方の転職マーケットに絞って採用していくしかないなと。
そのため、弊社ではこれまですべて一律スタートだったお給料の基準を見直しました。具体的には、「未経験」「経験者」「特定技能2号」という形で、初任給の階層を3段階に分けて求人を出すという新たな取り組みを始めています。
【岡﨑】
特定技能(外食)の新規停止が発表された「前」と「後」で、求職者側からの募集の集まりやすさや応募の数自体に何か変化は感じられますか?
【INGS 磯野】
正直な感想を言うと、「思ったよりも大きな変化はないな」というのが実態です。
ただ、国外から一括でまとめて採用するルートが完全にストップしてしまったので、元々特定の送り出し機関さん等と組んでいた「年間で大体この時期とこの時期に、何名ずつ定期採用していく」というような中長期の計画採用ができなくなった。ここに関しては非常に大きな打実に変化がありますね。
一方で、日本国内にいる転職希望者側の動きに関しましては、特段この発表によって応募が急激に増えたとか、逆に減ったとかいう手応えは、当初の段階ではそこまで強くは感じていません。
待遇(ハード)ではなく「働きがい(ソフト)」で選ばれる企業へ
【岡﨑】
今後は国内の転職市場に力を注いでいくということで、当然、同じように国内での引き抜きや転職獲得へ動かれる外食企業さんも多数いらっしゃると思います。
ここで、他社様からよくご相談いただく「懸念点」があるんです。それは、市場での取り合いが激化することによって、「自社で大切に育ててきた既存の特定技能スタッフが、他社のより高い給料などの好条件に惹かれて、簡単に転職していってしまうんじゃないか……」という不安の声です。
御社としては、そうした「既存スタッフの流出リスク」について、どのような影響があると考えていらっしゃいますか?
【INGS 磯野】
影響が全くないことはない、とは思っていますね、当然ライバルが増えるわけですから。
ただ、私たちの考えとして、スタッフの離職や転職の引き金になるのは、お給料などの「ハード面」の条件だけではないと思っています。それよりも、現場における「働きがい」や「職場の人間関係」、「社内で自分のやりたいことや将来の目標が見えているか」という『ソフト面』の要素のほうが、定着においては遥かに重要になってきます。
これまで弊社が取り組んできた、役員も参加するマナーに縛られない懇親会であったり、各国の支援担当スタッフを通じたきめ細やかなケアであったり、国籍を超えた「横の繋がり(コミュニティ)」を社内にしっかりと作ってきたことが、ここにきて「他社に負けない定着の強み」として、良い意味で大きく影響してくるのではないかなと考えています。
【岡﨑】
待遇などのハード面は他社に真似されるリスクがありますが、社内の人間関係や居心地の良さ、キャリアステップの安心感といったソフト面(エンゲージメント)は一朝一夕には真似できません。ここがしっかり構築されているからこそ、流出を防げているのですね。
さらに言えば、既存の従業員の方が「この会社は働きやすいな」「長く働きたいな」と心から満足していれば、今度はその方々が自分の大切な友人や知人を会社に紹介してくれるという「リファラル採用」の自発的な流れにも繋がっていくはずです。
外部の紹介会社経由の取り合い合戦だけに頼らない、強力な採用ルートになりますよね。御社では現在、リファラル採用の動きはいかがですか?
【INGS 磯野】
当社のリファラルは、件数自体はそこまで爆発的に多いわけではないですね。大体、年間で10件から15件、10名前後といったところでしょうか。
ただ、たとえ社内の優秀なスタッフが「自分の友達を働かせたいです」と紹介してくれたケースであっても、弊社としての採用基準は一切下げません。そこは非常にシビアに評価をして合否を出しています。
【岡﨑】
なるほど、しかしそれこそが、現場のクオリティを維持し、組織のブランドを守るために「あるべき健全な形」だと思います。基準を妥協して採用してしまうと、後から現場でのトラブルや早期離職に繋がり、結果として紹介してくれた本人との関係まで悪化しかねませんからね。
この「外食業の特定技能の新規受け入れが止まっている」という現状のなかで、逆に「これまで日本に来て外食業で働こうと現地の海外で頑張って勉強していた方々」が、外食がストップしたことによって、一時的に別の業種へ進路をシフトチェンジして来日するケースが今後増えるのではないかと考えています。
そうした方々が、外食業の技能試験にはすでに合格している状態で、一旦は別の近しい業種で日本に入国し、その後、数年が経って外食業の停止措置が解除されたタイミングで、「日本国内での転職」として外食業に改めてチャレンジしてくる。
そんなムーブが起きたとき、彼らは「特定技能の最大5年間」という在留期間が数年間消費(欠損)されている状態の、いわば『国内にいる外食特定技能の初心者(未経験者)』という少し特殊なステータスになります。
今後もし、そういった経歴の方々から応募があった場合、御社としては通常通りスムーズに採用や受け入れができそうなイメージ、あるいは何かハードルになりそうな予感などはありますでしょうか?
【磯野】
そうですね……。国の方針の変更や制度改正といったものは、私たち企業側としては非常に不確定要素が多い領域だと思っています。
その上で、いざそういった経歴の方が実際に目の前に応募として入ってきた場合、それこそこの発表がある前の時代で言うと「技能実習生としてとりあえず日本に来て働いていた方が、実習終了後に、本当にやりたかった外食業に特定技能で切り替えて転職したいです」と来られるムーブと、本質的には全く同じ形になるのかなと思います。
実際にそうなったときに、制度の壁なども含めて順調に採用活動を進められるかと言われると、現時点ではまだ具体的なイメージがハッキリと湧かない部分もありますが、もし「本当に外食で働きたいんだ」という意欲を持って弊社に来てくださるのであれば、私たちはぜひ快く受け入れたいなと思っています。
【岡﨑】
なるほど、非常に心強いお言葉です!本人としては「元々外食を希望していたけれど、制度の都合で回り道をしてきた」という背景がある分、外食に対する熱意や意欲は人一倍高い気がしますよね。ただ、スタートの職種が異なっていた場合の技術的なキャッチアップや、残りの在留期限の逆算など、実務的なハードルや管理の複雑さはやはり出てくると思います。
そうした未来の複雑なキャリアパスの管理こそ、私たちのような管理システムがデータ管理の面で企業様を先回りして守る盾にならなければいけないなと、先々の未来を考えて改めて気が引き締まりました。
セミナーを終えて
今回のセミナーでは、株式会社INGS様より、これまで外国籍従業員と向き合って積み上げてきた多くの知見を共有いただきました。
こうした「一従業員としてのキャリアアップの仕組み」や「一人ひとりの夢に伴走する体制」は、在籍人数が増えるほど、対応や質を維持し続けるのは容易ではありません。
たとえば、「このスタッフは中途採用で残り在留期間が3年だから、いつまでに2号の試験を受けてもらうべきか」という管理や、「次回の昇給に向けて、どの店舗のスタッフがどんな成果を上げているかを把握する」といった、一人ひとりのステータスや成長プロセスを、人事と営業現場がタイムリーに把握できていなければ、適切なキャリア面談や引き止め、2号へのスムーズな移行手続きは行えません。
人数が増えるほど、これらをExcel等で手動管理するのは限界があり、期限漏れなどの致命的なリスクを伴うかと思います。
こうしたキャリア支援のためのツール活用は日本人従業員にとっても重要ですが、ビザ等の手続き上の管理が発生する分、特定技能はその対応がより複雑になります。
そこで、ビザの期限管理にとどまらない、外国籍従業員の支援を本質化するための総合的なシステム化が重要になるといえるでしょう。
煩雑なデータ管理をシステム化して人事の「管理負担」をゼロにすれば、INGS様のように、スタッフのモチベーションを高めるためのコミュニケーションや、今回新しく決まったアワードのような評価制度の運用にすべての時間を使えるようになります。
こうしたシステムでのバックアップがあってこそ、より強固な内製化体制が作れるのではないかと、お話を伺っていて強く感じました。
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INGS様に導入いただいている弊社の支援業務管理システム(Linkus)では、定型機能の他に各社特有の管理要素を機能化するカスタマイズも可能です。
雇用・管理人数や社内状況の変化に合わせて、管理システムの使い方も様々変化させる必要があります。弊社BEENOS HR Link株式会社では、管理体制構築の段階からサポートも可能です、お気軽にご相談ください。