
出入国在留管理庁が特定技能に関して、「出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令」を施行することに伴い、特定技能の定期届出の頻度や随時届出のルール、在留資格申請書類に関する内容が一部変更されることとなりました。
この記事では、発表された最新情報に基づき、変更点についてわかりやすく解説します。なお、特定技能外国人採用に関する疑問点はなんでも特定技能特化型の支援業務管理システム[Linkus]や、特定技能アドバイザーにお尋ねください。


特定技能制度とは
特定技能には1号と2号の区別があります。特定技能1号外国人には1年間、6か月間、4か月間のいずれかの在留期間が付与され、在留資格更新の申請により通算で5年まで在留することができます。失業期間や育児・産前産後休暇、労災による休暇の期間なども通算在留期間に含まれます。特定技能2号外国人は3年間、1年間、6カ月間のいずれかの在留期間が付与され、更新の上限がありません。
参考:特定技能外国人受入れに関する運用要領/ 令和6年9月 出入国在留管理庁
特定技能についてこちらの記事も参考にしてみてください。

2025年4月からの変更点
2025年4月からの変更点は大きく分けて4点です。
- 定期届出の頻度変更
- 随時届出の新たなルール
- 在留資格申請の際の書類省略条件が変更
- 定期面談がオンライン実施可能に
次の項からそれぞれについて詳しく解説します。
【1】定期届出の頻度変更
2025年3月31日まで | 2025年4月1日以降 | |
届出の時期 | 四半期に一度 | 1年に一度(4月1日から5月31日までに提出) |
届出の内容 | 『受入れ・活動状況に係る届出書』と『支援実施状況に係る届出書』の2点 | 『受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)』 |
定期届出が年一回の提出に変更
届出の提出頻度が四半期ごとから1年に1回に変更されます。対象年の4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況を翌年4月1日から5月31日までに提出することとなります。新しいルールの定期届出(1年に1回の届出)を最初に提出するのは、2026年4月〜5月の間になるのでご注意ください。
一部書類の一体化
『受入れ・活動状況に係る届出書』と『支援実施状況に係る届出書』が一体化され、『受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)』に変更されます。それに伴い、届出事項や届出時に提出する書類が、以下のとおり変更となります。
◆参考様式第3-6号の内容(別紙を含む):
- 主な届出事項 : 特定技能外国人の労働日数、労働時間数、給与の支給総額、昇給率など →届出書本体に年度の平均を記載
- 別紙の内容 : 個人の年間活動日数、給与の総支給額、支援の実施状況等について、特定技能外国人を受け入れている事業所単位で作成
- 主な添付書類 : 特定技能所属機関の登記事項証明書、決算関係書類、役員の住民票写し、公的義務の履行証明書など
【2】随時届出の新たなルール
随時届出に関して、これまで対象とされなかったケースも今回の制度変更で対象となるなど、細かい変更点が多いのでご注意ください。
受入れ困難に係る届出(参考様式第3-4号)の変更点
◆在留資格の許可後、該当外国人が一定期間就労ができない場合に届出が必要
特定技能の在留資格が許可された後、これまでは一定期間就労ができない場合の届出義務はありませんでしたが、2025年4月1日以降は出入国在留管理庁への届け出が必要です。(例:在留資格の許可を受けた日から1ヶ月以上経過後も就労を開始していない場合、特定技能外国人として雇用後に1か月活動(就労)ができない場合など)
新様式の書類は出入国在留管理庁の『特定技能制度における運用改善について/〈新様式〉参考様式第3-4号』よりダウンロードが可能です。
◆自己都合退職の場合は、受入れ困難の事由の対象外となる
自己都合退職の申出があった場合については、受入れ困難の事由の対象外となります。雇用契約が終了した場合には、引き続き『雇用契約終了に係る届出』が必要です。
特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の基準不適合に係る届出(参考様式第3-5号)の変更点
届出の対象が「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為」があった場合から「特定技能基準省令第2条第1項各号及び同条第2項各号に適合しない場合」に変更されます。
◆基準不適合の具体例:
- 税金や社会保険料等の滞納が発生したとき
- 特定技能外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者(日本人及び他の在留資格で就労している外国人を含む。)に関し、非自発的離職を発生させたとき
- 関係法律による刑罰を受けたとき
- 実習認定の取消しを受けたとき
- 出入国又は労働関係法令に関する不正行為を行ったとき
- 外国人に対する暴行行為、脅迫行為又は監禁行為が発生したとき
- 外国人に支給する手当又は報酬の一部又は全部を支払わない行為が発生したとき など
また、不適合の条件について、引用出入国在留管理庁は次のように述べています。
基準不適合の具体例 税金や社会保険料等の滞納が発生したとき、特定技能外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者(日本人及び他の在留資格で就労している外国人を含む。)に関し、非自発的離職を発生させたとき、関係法律による刑罰を受けたとき、実習認定の取消しを受けたとき、出入国又は労働関係法令に関する不正行為を行ったとき、外国人に対する暴行行為、脅迫行為又は監禁行為が発生したとき、外国人に支給する手当又は報酬の一部又は全部を支払わない行為が発生したとき など
引用:特定技能所属機関・登録支援機関の皆さま- 出入国在留管理庁
これに伴い、特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の基準不適合に係る届出(参考様式第3-5号)の様式が変更されています。新様式の書類は、出入国在留管理庁の『特定技能制度における運用改善について/〈新様式〉参考様式第3-5号』からダウンロードが可能です。
1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出(参考様式第3-7号)の新設点
特定技能所属機関による自社支援の場合において、1号特定技能外国人支援計画に基づく支援について実施困難となる事由が生じた場合に届出が必要となります。具体的な例としては、特定技能外国人受け入れ時に作成した支援計画の実施が難しくなった場合などに提出します。
新様式の書類は、出入国在留管理庁の『特定技能制度における運用改善について/〈新様式〉参考様式第3-7号』からダウンロードが可能です。
また、特定技能所属機関が登録支援機関に全部委託している場合、登録支援機関の支援が難しいケースが発生した際には、登録支援機関から『1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る報告(参考様式第4-3号)』を提出します。
【3】在留資格申請の際の書類省略条件が変更
特定技能の在留資格申請に関しても、提出する書類の様式変更や新たな条件が追加されています。
申請書(省令様式)の様式変更
従来の在留資格申請書類に、地域の共生施策に関する連携に係る項目として、申請書(所属機関等作成用3 V「特定技能(1号)」・「特定技能(2号)」)に項番(32)が追加されました。特定技能外国人が就労する地域や日本社会に溶け込めるような支援を、地方公共団体と協力しながら実施することが盛り込まれた内容となっています。

引用:特定技能制度における運用改善について/申請書(抜粋)-出入国在留管理庁
(特定技能外国人を初めて受け入れる場合)在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請で提出する書類の追加
特定技能外国人を初めて受け入れる場合、外国人本人に関する書類(技能水準の立証資料等)に加え、受入れ機関として適格性に関する書類の提出が必要となります。
〈受入れ機関としての適格性に関する書類〉
- 特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)
- 登記事項証明書
- 業務執行に関与する役員の住民票の写し
- 特定技能所属機関の役員に関する誓約書(参考様式第1-23号)
- (特定技能所属機関の)労働保険料の納付に係る資料
- (特定技能所属機関の)社会保険料の納付に係る資料
- (特定技能所属機関の)国税の納付に係る資料
- (特定技能所属機関の)法人住民税の納付に係る資料
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)
- 雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)
適格性に関する書類の提出が免除されるケース
特定技能外国人を初めて受け入れる場合、以下の条件を両方満たす受け入れ企業は書類の提出が免除されます。
- 在留諸申請をオンライン申請、各届出を電子届出で行う
- 一定の事業規模のある機関等
〈一定の事業規模のある機関とは〉
- 日本の証券取引所に上場している企業
- 保険業を営む相互会社
- 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)
- 一定の条件を満たす企業等(PDF)
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
- 特定技能所属機関として3年間の継続した受入れ実績を有し、過去3年間に債務超過となっていない法人
従前の書類省略のルールとは異なり、オンライン申請と電子届出を行うことが書類省略の必須要件となります。オンライン申請や利用者登録については、『出入国在留管理庁オンライン申請』を参考にしてみてください。
オンライン申請の利用者登録についてはこちらから登録が必要です。
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電子届出の利用者登録について
【4】定期面談がオンライン実施可能に
特定技能所属機関等による定期的な面談について、面談の対象となる特定技能外国人の同意がある場合は、オンライン面談が実施可能となりました。面談のペースは、従来通り3か月に1回以上行う必要があります。オンライン面談時は周りに他の人がいないこと、面談を録画すること(退職後1年間、最長で6年は保管)、年に1度は対面で行うようにしてください。
まとめ
特定技能に関する制度内容の変更に伴い、申請時には十分ご注意ください。なお、人材管理をテクノロジーで支援するBEENOS HR Link株式会社は、特定技能特化型の支援業務管理システム[Linkus]を運営しています。また、自社支援に関して特定技能アドバイザーがサポートします。お気軽にお問い合わせください。