人材不足解消!建設業における特定技能活用の最新トレンド

人手不足が深刻な建設業。国土交通省の統計では、就業者数はピーク時から約28%も減少しています。入国規制が緩和された今、海外人材の活用が大きな鍵となります。

この記事では、特定技能「建設業」で外国人が従事できる業務内容や資格条件、受け入れ企業に求められる要件を解説します。なお、特定技能外国人採用に関する採用や在留資格の申請に関するご相談は、[Linkus][特定技能アドバイザー]にお尋ねください。

特定技能制度とは?建設分野での活用の概要

特定技能とは、日本に合法的に滞在できる資格(在留資格)の1つであり、特定技能の資格を持つ外国人は日本国内での現業労働が認められています。

特定技能制度の背景と目的

特定技能は、中小企業・個人事業主を中心に広がる人材不足の課題を解決するために2019年4月に施行されました。国内人材の確保や生産性の向上といった施策でも人材を確保できない一部の職種について、一定の専門技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく、というのが特定技能創設の趣旨です。特定技能には【特定技能1号】と【特定技能2号】の2種類があり、建設分野では両方が設定されています。

特定技能に関して詳しく書かれた記事はこちらを参考にしてみてください。

【特定技能1号】と【特定技能2号】の違いは下記の通りです。

項目特定技能1号特定技能2号
滞在期間最長5年(更新制)更新可能で在留期間に上限なし(実質永住可)
家族の帯同原則不可可能(配偶者・子)
技能水準基本的技能熟練した技能(現場管理レベル)
試験技能・日本語試験より高度な試験・実務経験が必要
現在の建設分野での運用✅ 対象(11職種) 対象

建設分野における特定技能制度の重要性

日本の建設業界では、少子高齢化と若年層の業界離れにより、深刻な人手不足が続いています。ここでは建設分野における特定技能制度の重要性について解説します。

建設業界の人材不足問題

国土交通省の統計によると、2024年時点での建設就業者数は約477万人で、1997年のピーク(685万人)から約30%減少しています。インフラ老朽化への対応や災害復旧、都市再開発など、建設需要は依然として高いにもかかわらず、現場を支える労働力が足りていないのが現状です。このような背景のもと、2019年に施行された特定技能制度は、建設業における労働力確保の新たな選択肢として注目されています。

国土交通省が定める建設特定技能受入計画

建設業分野では、単なる労働力受け入れにとどまらず、業界全体での人材育成と適正管理が求められています。そのため、外国人を特定技能で受け入れる際には、国土交通省が定める「建設特定技能受入計画」の策定と認定が必要です。この計画で、定められている要件は次の通りです。

・賃金は日本人と同等以上であること
・安全衛生教育や技能向上支援を実施すること
・不当な転職防止のためのマッチング管理体制
・加入する業界団体を通じた技能・就業管理の徹底

このように、建設分野の特定技能は、外国人材の受け入れを一時的な労働力補填ではなく、持続可能な産業構造への移行と捉える制度設計がなされています。

特定技能【建設】について

特定技能は、設定された技能水準以上の技術や知識、業務や生活に必要な日本語能力を持った外国人を対象とした在留資格です。即戦力となりうる人材のための資格であり、さまざまな要件や申請時の書類が多いのも事実。各分野ごとに異なった事項も多いため、ここからは特定技能【建設】について詳しく解説します。

任せられる業務

任せられる業務区分について、特定技能発足当初は19区分に細分化されており、業務範囲がそれぞれの区分に限定されていました。令和4年8月の閣議決定以降、業務区分は3区分に統合され、実質、一人の外国人材に任せられる業務範囲が拡大しています。(建設関係の技能実習職種を含む建設業に係るすべての作業を新区分に分類)

出典:【建設分野】業務区分の統合 – 国土交通省
参考:建設分野における外国人材の受入れ – 国土交通省概要、関係資料【特定技能制度(建設分野)】- 国土交通省

特定技能外国人材の採用プロセス

特定技能【建設業】を取得した海外人材を雇用する特定技能所属機関(受入れ企業)になるための要件や注意点について解説します。特定技能の他の業種とは違う点もあるのでご注意ください。

採用に必要な条件と手続き

要件を満たしておらず、かつ外国人技術者が不法就労とみなされた場合、入管法第73条の2第1項の罪により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が課せられる可能性もあるためご注意ください。

[JAC]への加入

特定技能の在留資格申請前に、[一般社団法人建設技能人材機構(JAC)]への入会が必須です。[JAC]の役割は特定技能外国人の適切な雇用を守るために設立された団体で、雇用のために人材紹介を利用する際は[JAC]を通して行います。特定技能【建設業】の採用で認められているのは直接雇用のみです。

建設業許可(建設業法第3条)の取得

特定技能所属機関は建設業法第3条の許可を受けていることが求められます。建設業許可番号を建設特定技能受入計画に記載するほか、有効期間内の建設業許可通知書(許可通知書又は許可証明書)の写しが必要です。

建設キャリアアップシステムの事業者登録

建設業振興基金が運営している[建設キャリアアップシステム]への事業者登録を行ってください。現場ごとに特定技能外国人の在留資格・安全資格・社会保険加入状況の確認が可能となるため、不法就労を防ぐことができます。建設キャリアアップシステム事業所番号(事業者ID)は計画書に記載しておきます。

海外人材に対する適切な支援

特定技能制度を活用して海外人材を雇用するためには、定められた支援を適切に行わなければいけません。受入れ企業でサポートしきれない場合は、登録支援機関に支援業務を委託することができます。

注意点について

給料水準の検討、雇用条件の整備

特定技能外国人と日本人労働者で、国籍や言語を理由として給料に差をつけることはできません。特定技能外国人の給料を決定する際には以下のことに留意してください。また、会社として守ってほしいルール等がある場合ははっきりと提示するためにも、社内規則・ルールを整えておくのがいいでしょう。

  • 勤続年数3年目の日本人労働者と同等かそれ以上の給料水準
  • 各地方労働局が発表している平均賃金から大幅に低くかけ離れていないこと
  • 技能実習生であった時よりも給料水準が高いこと
受け入れ人数の上限

基本的に特定技能においては人数枠が設けられていませんが、建設業は人数制限が設けられています。「特定技能と特定活動の在留資格で就労する外国人労働者の合計=受け入れる企業の常勤職員の人数まで」とされています。例えば、受け入れる企業の常勤職員が20名であれば、特定技能で受け入れることができるのは20名まで。特定活動で就労する外国人材がすでに5人いる場合、特定技能で受け入れられる人数は15名です。

出典:特定技能制度の受入れ見込数の再設定(令和6年3月29日閣議決定)- 出入国在留管理庁

在留資格申請の流れは以下の通りです。

  1. 外国人材の選定・面接
  2. 技能試験・日本語試験の合格確認
  3. 雇用契約の締結
  4. 建設特定技能受入計画の作成と提出
  5. 出入国在留管理庁への在留資格申請(在留資格認定証明書交付申請)
  6. 本人の入国と就業開始

採用に時に求められる外国人材側の条件

【特定技能1号】
  • 対象職種に対応した「特定技能評価試験」の合格
  • 日本語能力試験(JLPT N4程度)または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格
【特定技能2号】
  • より高度な技能評価試験の合格(現場での指導・管理経験が求められる)
  • 家族帯同が可能、在留期間の更新制限なし

特定技能評価試験と日本語能力試験

特定技能評価試験は、各職種ごとに定められており、作業の基礎知識・安全管理・専門技術に関する筆記および実技で構成されています。試験は国内外で実施されており、事前の対策が合否を左右します。

試験対策には、国土交通省や建設業団体が提供する公式テキストや学習動画、模擬問題などが活用できます。民間の教育機関による講習会も増加しているようです。

試験合格後は、企業との雇用契約を経て『建設特定技能受入計画』を提出し、出入国在留管理庁での在留資格審査を受けます。受入計画の認定後、在留資格認定証明書が発行され、外国人材は正式に就労できるようになります。

特定技能外国人材の支援体制構築

特定技能外国人を受け入れる企業には、単なる雇用だけでなく、生活面や就業面での支援を行う義務があります。これは、外国人材が安心して働き、地域社会に円滑に定着するために不可欠です。ここからは、主な支援内容について解説します。

企業に求められる支援義務

  • 事前ガイダンスと生活オリエンテーションの実施: 入社前に就労条件や生活ルールを丁寧に説明し、日本での生活に必要な情報を提供します。
  • 住居の確保と日本語学習機会の提供: 安心して暮らせる住居の手配支援や、日本語学習の機会を設けることが求められます。特に建設現場では、安全指示を理解できる日本語能力が重要です。
  • 出入国時の送迎・相談対応: 空港の送迎や行政手続きのサポートに加え、生活・労働に関する相談窓口を設けることが推奨されています。

これらの支援は、単なる法令遵守ではなく、外国人材の定着率やモチベーションにも大きく関わる重要な施策となるでしょう。

支援業務の選択肢とメリット・デメリット

企業が特定技能外国人を支援する方法は、大きく分けて以下の2つです

自社支援の利点と課題

【利点】

  • 自社の方針に合わせた柔軟な支援体制が可能
  • コミュニケーションが密になり、信頼関係が築きやすい

【課題】

  • 支援項目が多岐にわたるため、人的・時間的リソースが必要
  • 日本語サポートや行政手続きに関する知識・ノウハウが求められる
登録支援機関への外部委託のメリット
  • 行政手続きや生活支援に慣れた専門機関に任せることで、企業側の負担を軽減
  • 法令順守の抜け漏れを防ぎやすく、初めての受け入れ企業にも安心
支援が不十分な場合のリスク
  • 外国人材の早期離職やモチベーション低下
  • 行政指導・受入停止など、制度上のペナルティリスク
  • 地域とのトラブル・評判悪化など、企業の信頼性低下につながる可能性

特定技能外国人材の定着戦略

特定技能外国人材の受け入れは、単なる労働力補填ではなく、長期的に企業や地域社会に貢献する人材として育成・定着させる視点が重要です。そのための取り組みについて解説します。

長期的な定着を目指した取り組み

  • 昇給やキャリアパスの提供: 経験や習熟度に応じた昇給制度や、現場リーダー、将来的な技能認定などキャリア形成の道筋を提示することで、モチベーションの維持につながります。
  • 信頼関係の構築と文化的理解の促進: 日常的な声かけや相談の場づくり、宗教・食文化などへの配慮を通じて、外国人材が「受け入れられている」と実感できる環境を整えることが重要です。地域イベントへの参加や社内交流も効果的です。

特定技能2号へのステップアップ

特定技能制度では、1号から2号への移行が可能な分野が一部認められており、建設分野もそのひとつです。2号へステップアップすることで、より高度な業務への従事が可能になり、在留期間の制限もなくなります。

特定技能2号のポイント
  • 対象職種:建設分野では【とび】【型枠施工】【鉄筋施工】など一部職種が対象
  • 要件:技能試験(2号レベル)の合格と、実務経験(現場管理や指導経験など)の証明が必要
  • 在留資格の特徴:在留期間の更新制限がなく、配偶者や子どもの帯同も可能(家族ビザ)

特定技能2号への移行をサポートすることで考えられる企業側のメリットとデメリットは次のような例が考えられます。

企業にとってのメリット
  • 優秀な人材を長期にわたって安定的に雇用できる
  • 現場リーダー・育成担当など中核人材への成長が期待できる
  • 人材流出のリスクを抑えられる
企業にとっての課題
  • 2号試験の難易度が高く、社員としての継続的な育成支援が必要
  • 帯同家族の生活環境(住居・教育)への配慮も必要となる

まとめ

深刻な人手不足が続く建設業界において、特定技能制度は即戦力となる外国人材を確保する有効な手段です。採用から受け入れ、支援、定着、そして2号への移行まで、制度を適切に運用することで、企業の持続的成長と地域社会への貢献につながります。今後も国や業界団体との連携を深めながら、建設業の未来を支える人材確保戦略として、特定技能制度をより実効的に活用していくことが求められます。

【建設】の特定技能採用は、特定技能特化型のプラットフォーム[Linkus]が、受け入れ企業の支援業務内製化に関しては[特定技能アドバイザー]がお手伝いいたします。特定技能の最新動向を踏まえた最適なサポートをご提供しますので、まずはお気軽にご相談ください。

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