【監修】
小山 翔太
大学卒業後、証券会社勤務を経て独立開業。行政書士として在留資格(ビザ)申請及び外国人雇用コンサルティングを専門とする。特定技能制度及び登録支援機関運営についてのセミナーも多数開催している。
海外からスタッフを招きたい場合や、海外在住の家族を呼び寄せたい場合など、外国人を日本に招き在住させたい場合、「在留資格認定証明書」の交付を受けるとスムーズです。これは、実際の入国に先立って、その人が日本に在留する資格を有することを予め証明してもらうことのできる制度です。この制度を利用することにより、日本への入国がスムーズになります。
本人の入国前に申請するものですので、必然的に日本国内にいる代理人が申請などを代行することになるケースがほとんどです。そのため、本人を呼び寄せる立場にある人材が、申請や手続きについて理解しておく必要があります。
本記事では「在留資格認定証明書交付申請」の概要と必要書類、記載例など、申請にあたり知っておくべきポイントを紹介します。
在留資格認定証明書交付申請
外国人が日本国内に中長期に渡り在留するためには、在留資格を取得する必要があります。在留資格を認められれば在留カードを受け取り、資格の有効期限内は適法に日本国内に在住することができます。
在留資格は基本的に日本への入国時に取得するものですが、事前に申請しておくことで、「入国時に資格を与える予定ですよ」という法務省からの証明書を受け取ることができます。これが、在留資格認定証明書です。
在留予定の外国人は、自国の日本公館へビザの申請を行う際、この証明書を添付する必要があります。また、入国の際にも証明書を提示することで上陸審査も迅速に行われます。在留資格認定証明書の有効期限は交付された日付から3ヶ月です。この期限内に日本へ入国しないと証明書が無効となってしまう可能性があるため注意しましょう。
在留資格別必要書類
証明書を得るためには、必要書類を揃えて本人もしくは代理人(日本国内在住の家族や勤務予定企業の職員など)が申請します。取得予定の在留資格によって必要書類が異なるため、間違いなく用意できるよう丁寧な確認が必要です。ここでは、すべてのケースで共通して必要となる書類の他、主要な資格を例として資格別の必要書類を紹介します。
すべての資格に共通の必要書類
在留資格に関わらずすべてのケースで提出が必要な書類には次のものがあります。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真
- 返信用封筒
申請書は地方出入国在留管理官署で受け取るか、法務省のホームページからダウンロード可能です。本人作成用と所属機関等作成用がありますので、漏れなく記入しておきます。後ほど記入例を紹介しますので、申請書作成の際にはぜひ参考にしてください。
写真は申請前3ヶ月以内に撮影されたもので、無帽・無背景で鮮明なものとされています。裏面には申請者の氏名を記載し、申請書に貼付します。返信用封筒には宛先をはっきりと記載の上、簡易書留用に404円分の切手を貼付し提出します。
「技術・人文知識・国際業務」の必要書類
この在留資格で申請する場合、上記に加え次の書類が必要です。
- (申請人が専門士または高等専門士の場合)学位を証明する文書
- 勤務先が区分(カテゴリー)のいずれかに該当するかを証明する書類(カテゴリー4の場合は不要)
企業カテゴリーは事業規模や過去の会計実績などにより異なりますので、申請前に法務省のサイトで確認が必要です。例えば、カテゴリー1は上場企業や独立行政法人など、カテゴリー2は前年度の源泉徴収税額が1,000万円以上の団体、といった具合です。
また、所属機関がカテゴリー3もしくは4に該当する場合、次の書類も必要です。
- 申請人の活動内容等を明らかにする資料(労働契約書や役員報酬を定める定款の写しなど)
- 申請人の学歴・職歴・その他経歴を証明する文書(在職証明書、大学や専門学校の卒業証明書など)
- 登記事項証明書
- 事業内容を明らかにする資料(会社案内など)
- 直近年度の決算文書の写し
「介護」の必要書類
日本国内で有効な介護福祉士の資格を有している場合、介護または介護指導に従事するための在留資格を得ることができます。「介護」の資格において申請を行う場合、次の書類が必要です。
- 介護福祉士登録証の写し
- 労働条件を明示する文書(労働者に交付されるものと同一のもの)
- 契約機関の概要を明らかにする書類(沿革や役員、事業内容などがわかる会社案内など)
- (過去に「技術実習」の在留資格で在留していた場合のみ)技術移転に係る申告書
「家族滞在」の必要書類
すでに日本での在留資格(一部例外あり)を有している外国人の家族が日本に滞在するための在留資格です。ここでの「家族」とは、配偶者もしくは子どもを指します。原則として、日本に在留している外国人が扶養者となって家族を扶養することが前提です。この資格での申請においては、次の書類が必要です。
- 申請人と扶養者の身分関係を証明する文書(戸籍謄本、結婚証明書の写し、出生証明書の写しなど)
- 扶養者の職業、収入を証明する文書(在職証明書、営業許可書の写し、課税証明書・納税証明書など)
その他の必要書類
ここで挙げた他にも、申請する資格によってそれぞれに必要書類が異なります。日本国内においては、所有する在留資格外の活動を行うことはできません。迎え入れる外国人の予定している活動がどの在留資格に含まれるのかをしっかりと把握し、正しい書類を準備することが必要です。
また、審査期間中に追加で書類の提出を求められる場合があります。その際には速やかに必要書類を用意し、追加提出するようにしましょう。
記載例
証明書の交付申請のために申請書を作成します。万一この申請書に不備があると、交付までに時間がかかったり、不許可となる可能性があります。記入例を参考にしつつ、丁寧に記入、確認することが大切です。
申請書は申請する在留資格によって内容が異なります。
ここでは、「技術・人文知識・国際業務」の申請書を例にとって説明します。(「研究」「技能」「介護」「特定活動(研究活動等・本邦大学卒業者)」も同様の書式です)
申請人等作成用1
1.国籍・地域 申請者(来日予定の外国人)の国籍を記入します 2.生年月日 申請者の生年月日を西暦で記入します 3.氏名 申請者の氏名を、パスポートの表記通りに、フルネームで記入します 漢字表記がある場合、漢字とアルファベットを併記します 4.性別 該当する性別を丸で囲みます 5.出生地 申請者の出生地を記入します。 国名だけでなく、州や県、市といったレベルまで記入します 6.配偶者の有無 該当する方を丸で囲みます 7.職業 申請者の現在の職業を記入します(学生、無職など) 8.本国における居住地 国籍のある国における住所を記入します こちらも国名だけでなく、州・県・市の名前まで記入します 9.日本における連絡先 受け入れ先企業や、日本に在住している家族の連絡先を記入します 10.旅券番号・有効期限 パスポートナンバーと有効期限を記入します 申請中の場合は番号の欄に「申請中」と記入します 11.入国目的 希望する在留資格を選択し、チェックを入れます 12.入国予定日 日本へ入国する予定の日を西暦で記入します (どうしてもこの日に入国しなければいけないということではありません) 13.上陸予定港 到着予定の日本の空港名を正式名称で記入します 14.滞在予定期間 日本に滞在する予定期間を記入します 1年・3年といった年数のほか、「長期」や「永住」といった表現も可能です 15.同伴者の有無 日本へ入国する際、同伴者がいる場合は「有」いない場合は「無」を丸で囲みます 16.査証申請予定地 ビザを申請する予定の日本公館がある都市名を記入します 17.過去の出入国歴 過去に日本へ入国したことがある場合、「有」を丸で囲み、入国回数と直近の滞在期間を記入します 初めて入国する場合は「無」を丸で囲みます 18.犯罪を利用とする処分を受けたことの有無 日本国内外を問わず、犯罪による処分歴があれば「有」を丸で囲み、具体的な内容を記入します 記入欄が小さいため、必要であれば別紙を用意しても構いません 犯罪歴がない場合は「無」を丸で囲みます 19.退去強制又は出国命令による出国の有無 過去に強制送還や出国命令を受けての帰国歴がある場合、「有」を丸で囲み、その回数と直近の出国日を記入します。 ない場合は「無」を丸で囲みます 20.在日親族(父・母・配偶者・子・兄弟姉妹など)及び同居者 日本国内に家族や同居者が在住している場合、「有」を選び、続柄や氏名など詳細を記載します 同居者とは、同棲しているパートナーなどを指します 該当者が誰もいない場合は「無」を選びます
申請人等作成用2
21.勤務先 日本国内における勤務予定先の詳細を記入します 勤務予定支店がある場合、本店や本社ではなくその支店の所在地や電話番号を記入します 22.最終学歴 該当するものを選んでチェックを入れます 23.専攻・専門分野 最終学歴で選択した教育機関における専攻を選択し、チェックを入れます 該当するものがない場合「その他」を選び、具体的に記入します 24.情報処理技術者資格又は試験合格の有無 国内で情報処理に関わる活動を行う場合のみ記入します 該当する資格や試験合格があれば「有」を丸で囲み、資格名や試験名を記入します ない場合は「無」を丸で囲みます 25.職歴 勤務地を問わず、これまでの職歴を全て記入します 記入欄が足りない場合は別紙を用意します 職歴がない場合「該当なし」と記入します 26.申請人、法定代理人、法第7条の2第2項に規定する代理人 実際に申請手続きを行う人(本人もしくは企業担当者など)の情報を記入します 署名は必ず申請人もしくは代理人が自署します 取次者 申請に際し弁護士や行政書士など取次者を介した場合、その人の情報を記入します 該当しない場合は空欄にしておきます
所属機関等作成用1
1.契約又は招へいする外国人の氏名 来日予定の方の氏名をパスポート通りの表記でフルネームで記入します 申請人等作成用の3と全く同じになっているか必ず確認してください 2.契約の形態 契約形態について該当するものにチェックを入れます 3.所属機関等契約先 受け入れ先企業の情報を記入します (1)名称:登記通りに記載します (2)法人番号:法人番号は国税庁法人番号公表サイトで確認できます (3)支店・事業所名:実際に勤務予定の支店名を記入します (4)事業内容: メインの事業を1つ選び、番号を記入します その他にも手がける事業があれば選択して記入します その他の事業は複数選択可能です (5)所在地、電話番号:勤務予定支店の情報を記入します (6)資本金:資本金を記入します。NPO団体や社団法人など一部の法人は記入不要です (7)年間売上高(直近年度):財務諸表などをもとに直近年度の売上高を記入します
所属機関等作成用2
(8)従業員数:非正規雇用を含んだ全従業員数を記入します (9)外国人職員数:非正規雇用を含んだ全ての外国人職員数を記入します 4.就労予定機関 申請人が就労する予定の期間を記入します 3年、5年など、年単位で記入するのが一般的です 5.給与・報酬(税引き前の支払額) 申請人に支払う予定の給与や報酬額を記入します 年額もしくは月額で記入し、該当する方にチェックを入れます 6.実務経験年数 日本で従事予定の業務に関連する経験がある場合、経験年数を記入します ない場合は「0」と記入します 7.職務上の地位(役職名) 申請人が働く際の役職がある場合、「あり」にチェックを入れて役職名を記入します 特にない場合は「なし」にチェックを入れます 8.職務内容 申請人が予定しているメイン業務を1つ選択し、番号を記入します それ以外にも関わる予定の業務がある場合、次の欄に番号を記入します(複数選択可)
所属機関等作成用3
所属機関等作成用の3と4は、申請人が日本国内で派遣社員として働く場合のみ記入します。契約機関と勤務先が同一の場合には記入は不要です。ただし、その場合も何も記入していない申請書を提出する必要があります。
9.派遣先等 派遣先の企業について、「3.所属機関等契約先」と同様に記入します
所属機関等作成用4
署名欄 勤務予定機関の名称と代表者名、申請書作成日を記入し、団体の実印を押印します
まとめ
在留資格認定証明書は、日本への在留を希望する方が入国する前に必要になる書類です。多くのケースにおいて、本人ではなく代理人が申請することとなります。記入内容に間違いや不備がないよう、本人と連絡を密に取り合い、丁寧に作成しましょう。
不安な場合は、簡単に書類を作成することができるツールやサービスを利用するという方法もあります。Linkus(リンクス)では、外国人労働者と雇用者双方がスムーズに手続きや準備ができるよう、様々なサービスを提供しており、必要書類を自動で作成できるツールもあります。外国にいる本人との円滑なコミュニケーションをサポートする機能も充実しているので、複雑な手続きの際にはぜひご活用ください。